大竹しのぶ「夜への長い旅路」稽古場裏話で「『まだまだダメだ』と落ち込む遥亮くんに『私も一緒だよ』と慰めていたら、大倉くんが『俺もだよ、どうしよう』と3人でため息」

大竹しのぶ「夜への長い旅路」稽古場裏話で「『まだまだダメだ』と落ち込む遥亮くんに『私も一緒だよ』と慰めていたら、大倉くんが『俺もだよ、どうしよう』と3人でため息」1

 女優・大竹しのぶ(63)、『関ジャニ∞』大倉忠義(35)、杉野遥亮(25)、池田成志(58)が7日に初日を迎えるCOCOON PRODUCTION 2021 DISCOVER WORLD THEATRE vol.10『夜への長い旅路』(演出:フィリップ・ブリーン)へ向け、コメントを寄せ、その舞台写真も一部公開した。

 ノーベル文学賞受賞、ピュリッツァー賞4度受賞で“アメリカ近代劇の父”と称される劇作家ユージン・オニール。そんなオニール氏の遺作となった作品。オニール自身の青春時代における、凄惨な家族の姿を描いた自伝劇といわれる本作は、彼の死後、妻によって発表され、4度目のピュリッツァー賞を獲得している。悲劇的な家族の歴史を、人間の真実を突く普遍のドラマに昇華させ、自らの人生に“赦し”を与えるメッセージは、日本のみならず、世界中で繰り返し上演されていることで知られる。

 モルヒネ中毒に冒されて常に精神が不安定な母メアリーに大竹しのぶ。アルコールに溺れ、父親の脛をかじって放蕩を繰り返す長男ジェイミーに大倉忠義。結核を患っている次男エドマンドに杉野遥亮。アイルランド系移民で、金銭に対して異常な執着を持つ俳優の父ジェイムズ・タイロンに池田成志。一家の女中に土居志央梨がキャスティングされている。

 ○大竹しのぶ
 ある日のけいこ場で、画面越しに初舞台の(杉野)遥亮くんにアドバイスするフィリップの言葉を聞いて、気が付けば私が深く頷いていたり、けいこ場最終日、けいこが終わり「まだまだダメだ」と落ち込む遥亮くんに「私も一緒だよ」と慰めていたら、それを見ていた大倉くんが「俺もだよ、どうしよう」と3人でため息を吐いていると、もうモニターを切ってもいいのにフィリップがまたマイクをONにしてくれて「どうしたの?」と聞いてくれる。
 6000マイル離れていても、いつもそこにいてくれるんだと思えた瞬間でした。
 思っていた以上に大変な戯曲であることが分かり、そして毎回のことですが、フィリップの戯曲の深い理解に感動しながら、けいこを重ねてきました。
 それぞれが苦しみや、悲しみや絶望を感じていても、それぞれが大きな愛を持っている。だからこそ切なくて、そして美しい物語です。こんな状況の中でも来てくださることに、本当に感謝です。

 ○大倉忠義
 だんだんと家族のような絆が生まれていくような感覚を味わいながらも、馴れ合いではないプロの役者さん達の集中力でけいこが進んでいったことが思い出深いです。そして、けいこを経ても、まだまだこの戯曲の大きさ・深さに驚かされています。
 愛憎劇という、なんでこんなに愛しているのに悲しいことばかり起こるのか……と思いながら演じています。こんな形の家族を見て、お客さまへ何でもいいので何か宝物になるような経験を持って帰っていただけるように頑張りますので、どうぞ愛を持って見守ってください。

 ○杉野遥亮
 みなさんとけいこをする中で、演技とは芸術で、俳優とは芸術家なんだと学ぶことができました。俳優や演技に対する自分の中の意識がガラッと変わりました。何もかも初めてのことで、こんなに長い時間役と向き合うことが今までになかったから、自分と役との境目がわからなくなったこともありました。自分がどこにいるのかわからない時もあって、これが役に向き合うということなのか・・・初舞台で毎日素敵な経験をさせていただいています。
 劇場に入り初めて舞台上から客席を見た時はすごくワクワクして、もっともっとけいこをしたいという気持ちもあるけれど、早く観ていただきたいという気持ちも湧いてきました。物語はとても暗く、残酷にみえますが、そんな物語を今この時代に、この瞬間に上演することに意味があり、希望があると思っています。一緒に楽しんでください。

 ○池田成志
 演出家と海を挟んだ遠く離れてのリモート稽古で、空気感などがお互いうまく伝わっていない部分もあったなとも感じていて、もっとけいこをしたかった……。
 僕の役は、奥さんのモルヒネ中毒や、息子の病気という心配事が多いので、単純な苛立ちに感情をフォーカスしがちになってしまい、治る、きっとうまくいく、というような家族としての基本的な気持ちになかなかたどり着くことができなかった。作品を通して、家族って単純ではないんだな、難しいなと改めて感じました。
 この作品は台本が分厚くてものすごい情報量です。身に染みたとか、わからないとか、ここが響いたとか、観てくださった方それぞれに、いろいろな感情がわいてくると思います。それだけ複雑な内容なんだと僕たちも実感しています。とても苦しくなると思うので、休憩中にいっぱい深呼吸してください(笑)。終わったら、少しだけ気が晴れるような作品にもなっていると思います。

 COCOON PRODUCTION 2021 DISCOVER WORLD THEATRE vol.10『夜への長い旅路』東京公演は7日から7月4日までBunkamuraシアターコクーンにて、京都公演は7月9日から同18日まで京都劇場にて上演予定!

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 ※記事内舞台写真は「撮影:細野晋司」

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