俳優・石川瑠華（24）、青木柚（20）が3日、東京・新宿武蔵野館で映画『うみべの女の子』（監督・脚本・編集：ウエダアツシ／配給：スタイルジャム）公開記念舞台あいさつをウエダ監督、原作者で漫画家・浅野いにお氏とともに開いた。
浅野氏が2009年に発表した作品で、「思春期」「恋」「性」といった題材に真正面から挑んだ作品。中学生の小梅（石川）は憧れの先輩から手ひどく振られたショックからかつて自分のことを好きだと言ってくれた内向的な同級生・磯辺（青木）と関係を持ってしまう。何度も身体を重ねる2人。小梅は磯辺へ想いをつのらせていくが、磯辺は小梅との関係を断ち切ろうとする。2人の気持ちはすれ違うなか、磯辺は過去にイジメを苦にして自殺した兄へ贖罪しようとある行動に出る……という物語。
本作はオーディションで石川と青木が起用となった。石川は初めて台本を読んだ時のことへ、「私が初めて脚本を読んだときはちょっと気が抜けた状態で読んでいたので、結構セリフが原作そのもののセリフで、このシーンなくなったんだ……、このセリフがないんだ……と、単純な喜びとか悲しみしかなかったんです（苦笑）。後で、追加してもらったセリフがあるのですが、それが最初の台本にはなかったのは大きな悲しみでした」と、原作との違いに一喜一憂したのだとか。
一方の青木は、「オーディション前に台本を読ませて頂きました。思春期の恋と性を描いていますが、思春期を一言で形容できるものではない濃厚さというか、自分自身も思い当たるようなザラつきだったり、そういう面が、脚本にも漫画と同じような色を残したまま描かれていて、自分自身苦しくなりました」と、強く感情移入したといい、「これを自分の役がやる可能性があると考えたときにすごい責任だし、同時にすごく高揚したというか」と、いろんな気持ちがないまぜになったそうだ。
ちなみに、本作映像化にあたり浅野氏もオーディションに参加。青木のキャスティングはオーディション前から青木について知る機会があり「正直、青木さんじゃないと成立しないと思っていたので、青木さんやってもらえるとなったときに安心したんです」と、胸をなでおろしたそうで、これに青木は「マジか……」と、驚きを隠せず。
石川はオーディション日に1人だけ都合がつかず別日だったそうだが、その際に浅野氏がオーディションを行うビルのエレベーターで「制服を着た小さい女の子がいて、なんでこんなビルに中学生の女の子が！？と思って」というと、石川は「私、全然覚えてなくて、それは違う人なのでは？」と、訝しげだったが、浅野氏は「石川さんのオーディションを観たときに、この人しかないと満場一致だったと思うので、そこの部分は救われたなと思いました」と、しみじみだった。
石川と青木へは、お互いの印象について質問が。石川は「現場では磯辺と小梅のような近い感じで、ほかの人が言えないことを言えたりするような関係でした。でも、いまは一緒にいると居心地がいいような感じで。きょうも取材があったのですが、そのときに久々なので緊張していたんです。ですが、それがすっと解けて」といい、青木は「初めに会ったときから、小梅への強い思いが感じられたんです。現場でも小梅であろうとうする意思というのが非常に伝わってきて、僕自身とても助けられました。なんか、石川さんにしか分からないシーンをしっかりと思っている方だなと、それは撮影から今までずっと一貫して感じています」と、その役作りの姿勢を感心していた。
そして石川から「この映画が完成したのは、ウエダ監督をはじめスタッフの方々が、漫画に出てくるキャラクターたちを深く愛して一緒に戦いながら作ってくれたおかげだと思っています。みんなが原作漫画に惚れ込んで、その可能性を信じてくれていたからだと思います。私にとってこの原作漫画が唯一無二であるように、誰かにとって、この映画も唯一無二のものになったら嬉しいです」と、メッセージを寄せ、浅野氏からは、「原作が過激な内容だったりしたので、主演のお2人は苦労されたと思います。漫画は終わったら終わりっぱなしということが多い中で、こうして機会を頂くことで、自分の漫画はまだ生きていると実感を得ることができました。この場を借りて主演のお2人、ウエダ監督へお礼致します。ちょっとトゲのあるような内容ですが、こういう映画を必要としている若い世代の人がいると思いますので、そういう方に観てもらえたら良いなと思います」と、コメントし終演を迎えていた。
映画『うみべの女の子』は新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか公開予定！
