俳優・原嘉孝、入山杏奈らが1日、東京・池袋のサンシャイン劇場でタクフェス最新作『天国』(作・演出・出演:宅間孝行)東京公演公開ゲネプロを開催した。
宮城・石巻市に実在した『岡田劇場』をモデルにした作品で、『山田劇場』を舞台に映画、芝居、興行に奮闘する愛すべき人たちをカラリと笑ってほろりと泣けるハートフルストーリーに仕上がっている。東日本大震災発生から10年が経った今、そして、新型コロナウイルスによってエンタテインメントの在り方が大きく変わった2021年に、心に苦しみを抱えながらも日々懸命に生きる人々への「応援歌」のようなステージを展開する。
すでに10月22日の名古屋公演で幕を開け、北海道、新潟、仙台、大阪とめぐっての最終の6ヶ所目の東京公演となり、息の合った掛け合いを見せ、日常の温かさを表現してみせた。さらに、本作では『山田劇場』に日替わりで“スター”がやってくることも特徴の1つだが、この日は中村玉緒がゲストに。中村がマイペースに話をしまくり、キャスト陣もずっこけそうになりながらの演技を披露し、爆笑が巻き起こるものとなった。
終演後には原、入山、『ハマカーン』浜谷健司、大薮丘、広田亮平、モト冬樹、鈴木紗理奈、宅間孝行が会見を開催。原はひょんなことから山田劇場の従業員となる島村龍太郎役でタクフェスに初参加となった。「けいこ中1ヶ月毎日通うんです。ああでもない、こうでもないとい話しているのが続いていて、作品に思いを込めて、みんなで、作品に向き合っているというのが、すごくタクフェスって素敵だなと思っています」と、演劇に打ち込んでいったという。
入山は宅間演じる山田劇場社長・本郷大の娘で気の強いさゆり役を演じた。「5年前から2回目のタクフェスへの参加だったんですけど、前回はみんなでご飯を囲んで食べていて仲良くなるなという感覚があったんです。今回はコロナ禍でみんなでご飯を食べるということがなかなか難しかったんです。でも、その割に、すっごいすっごい仲のいい座組になったなって思ってます。私は先輩方を呼び捨てで呼んでいるくらいで、それが役作りとして許されている感じで」と、距離の近いものになっているそうだ。
一方、宅間の演出というと、けいこがスパルタであることでも知られているが、浜谷がこの話題になると「すいませんでした!どうぞ怒りを」と、土下座をしだし、モトが「みんなの前だぞ!ダメだぞ(笑)」と止めれば、入山も「みんな見てるから!(笑)」と、止める振りをしだしてキャスト陣が沸き返ることに。しかし、当の宅間としては、「頼むよ~本当に~!これがそのまま世間に行くことになるんだから!」と、苦笑いでため息。
そんなコミカルな一面を見せたが、モトは表情を引き締めると、「宅間くんが厳しいと言われるんですけど、宅間くんは厳しいです。でも、いいものを作りたいというありがたい厳しさで1つになって作れています」といい浜谷も「みんなを導いてくれる座長です」と、頼りがいがあると語る。広田も「けいこを進めていくうちに、役者への愛情があふれている方だなと思って、だからこうしてお芝居に向き合っていられます。楽しく充実した時間になっています」と、語っていた。
一方、原は今年4月にジャニーズJr.を卒業したが、「そうですね……1人なんだって思って自立していかないとなと思いました。ここからは誰にも頼らず、給料面もいろいろと気になるようになりました。ジャニーズJr.時代よりはもらえてますけど、今後どうするんだいという感じです」と、気持ちも引き締まったそうだが、モトと浜谷から給料があがったのか、さがったのかとイジられ倒し「少しだけ……」と返答していた。
また、本作をどんな思いで手掛けたのかへ宅間は、「コロナ禍で去年、われわれの演劇というジャンルは経験したことのないことにぶち当たりました。興行をされている方や、裏方の方たちも苦しい思いをしているなか、地方のバックヤードの裏方さんたちが主人公にできないかなと思ったのが発端でした。今年の3月にこの作品をみんなへの応援歌ができないかなと思って。東日本大震災10年目というタイミングで、石巻に岡田劇場という古い映画館があると伺いまして、コロナ禍で一瞬ですべてが変わってしまったという部分は、震災で人生が変わってしまった人たちと、同じとは言えませんがちょっとしたシンパシーを感じられるのかなと思いました」と、気持ちを。
そのタイトルに込めた思いとしては、宅間は「死んでしまった人たちが行く天国というより、パラダイスという意味での天国という意味でとらえていました。どれだけ日常というものが素敵だったのか、いかに楽園だったのかということを伝えたいと思いました。ご覧になった方々が、この劇場のバックヤードにいるみんなが楽園の中にいるのではないかと思ってつけています」と、話した。
ほかにも、ゲストコーナーで本日の中村のように“制御”がきかないゲストがいて公演時間が長くなったエピソードなどが語られたり、同日は新語流行語大賞が発表されたということで、自身の流行語として原が「流行語かわかりませんけど、お願いするときに柔らかくお願いするのがはやってます。メイクしてもらうときも、『メイクしな……』」と、声色を柔らかく話していたが、宅間は「それ柔らかくなくないか?」とツッコんだり、モトも「感じ悪くないか?」というと、原は速攻で「やめます(苦笑)」と、流行を終わらせていた。
そして原から、「地震の怖さ、3.11の怖さを忘れちゃいけないというメッセージもそうですけど、いかに何もない日常が幸せなのかということを僕たちは伝えるために東京公演に僕たちは立ちます。ぜひ大切な方、友達・家族と観に来てもらえれば幸いです」と、メッセージを寄せていた。
舞台『天国』東京公演は1日から12日までサンシャイン劇場にて上演予定!また、2022年10月にタクフェス第10弾『ぴえろ』が東京にて上演予定であることも発表。宅間が2作目に書いた作品で2001年初演
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