俳優・忽那汐里、李相日監督が24日、東京・新宿ピカデリーで映画『クライ・マッチョ』(配給:ワーナー・ブラザース映画)公開記念クリント・イーストウッド過去作上映舞台あいさつに登壇した。
クリント・イーストウッド監督・主演・製作の新作『クライ・マッチョ』の公開が2022年1月14日に迫ったことと、イーストウッド監督デビュー50周年を記念したイベント。1992年公開の『許されざる者』、2009年の『グラン・トリノ』、2015年公開の『アメリカン・スナイパー』の3作品が再上映されることとなり、この日は『許されざる者』が上映されることとなりゲストを呼んでのトークショーとなった。
イーストウッド監督の魅力について質問が挙がると、李監督は「なんでしょうね」と、いろいろ思い浮かぶのかしばらくいいあぐねることに。そして「今後こういう方が出てくるのかなって。俳優として主役として出ながら、こういう映画を撮られてきて。50年人間の良心ってなんなのかなということを考えているのではないかって」と、感じていることを。
忽那もこの李監督の話にうなずきつつ、「私が生まれている年数からはるか前から監督されていますが、すべての方に平等に、そういう現場で温かい現場で撮影されているとよく聞きます。すごいレジェンドの方だなと思っています」と、語った。
続けて、2013年に李監督が日本版でリメイクした映画『許されざる者』の話題へ。忽那は顔を蹴られるシーンがあるが、「この作品、いままでやったなかで1番鮮明なんです。1日1シーンだけの撮影でしたが、血しぶきのために管を入れていて。でも、着物は1着しかないので、乾かすのに数時間かかるとなって。あのシーンはプレッシャーに感じていました」と、いまでもヒリつくような気持ちになるのだとか。
李監督はこの裏話として、「何人かで面談して忽那さんになったんですけど、僕はいくつか、全員に共通する質問を投げたんです。自分がどういう質問をしたか覚えないですけど、女性像というものをシンプルに答えてくださいと尋ねたときに忽那さんは『母性』という言葉が出てきて。母性だけではなく強さとも頂いて、ちょっとドキッとしたのを覚えていますね」と、懐かしげに振り返る。
これに忽那は身を乗り出すような反応を見せ「今言われなければお聴きしたかったんです!」と、長年そのときのことに思うところがあったといい、「李さんは質問はするんですけど、私の顔や目を見てくれなかったんです。それは意図的だったのかなって」と、詰め寄る。
すると李監督は苦笑いしながら「みなさん眼力が強いし、僕は盗み見るのが好きで、ちょっと斜めに見える感じとか、空気感を観たい方なんです。あまり直接ガツンと来られると、終わるまで待っちゃいます」と、釈明。これに忽那も「ずっとこの10年思っていたので良かったです!」と笑みが浮かび、スッキリといった様子だった。
そして『クライ・マッチョ』の話題へ。李監督は「90歳を超えた方が動いているだけで感動してしまいます」と、イーストウッド監督のことに触れたり、「いい意味でのおとぎ話のような。この起承転結を綺麗に落とすところも含めてこんなにひねってなくて、まっすぐに90歳を超えたおじいさんの瞳が少年のようなんです」と、熱を入れて語り、忽那は、「素朴な作品でビックリしました。終わったときに本当にここで終わったのかというくらい温かい作品でした」と、語っていた。
映画『クライ・マッチョ』は2022年1月14日より新宿ピカデリーほか全国ロードショー予定!