宮野真守福士蒼汰の素顔は「いたずらっ子」でずっと棒でつつかれる！？松雪泰子から「えー愛し合ってるんですね。ふふふ」【原稿ロングめ】

　俳優・福士蒼汰（28）、松雪泰子（49）、髙嶋政宏（56）、宮野真守（38）が25日、都内でいのうえ歌舞伎『神州無頼街』（演出：いのうえひでのり）製作発表会見を演出のいのうえ氏とともに開催した。

　『劇団☆新感線』42周年を迎える22年春に、昨年コロナ禍により公演が叶わなかった、いのうえ歌舞伎『神州無頼街』を上演！『劇団☆新感線』のこれまでの作品とは一味違う魅力に満ちたストーリーとなっており、“幕末”や“侠客”という、これまで座付き作家の中島かずき氏がいのうえ歌舞伎では取り上げなかった題材を用いて、猥雑で妖しく、摩訶不思議な世界で展開していく。　物語の主人公で博識の若き町医者、秋津永流（あきつながる）役を福士、陽気でお調子者の口出し屋・草臥（そうが）役を宮野が演じる。2人はお互い助け合い、時には足も引っ張り合う“バディ”として板の上に立つこととなる。

　いのうえ氏から作品へ、「思ったよりロック芝居になりそうです」といい、「ロックした時代活劇になっています。2年前にやりたかった芝居ですが、ほぼ同じメンツで上演できるのは奇跡に近いかもしれない。橋本じゅん以外出演できるので、絶対にやれよといわれている気持ちです」と、心情を。

　福士は、「2020年に本来やる予定でしたがコロナ禍で上演できなくなって、最初中止となり、悔しい思いもありましたが、中止ではなく延期という形になって。2年前にできなかったことも、できるのではないかというものがあるので、僕自身経験したものを出せるのではないかと思います」と、この2年の成長をぶつけると意気込むとともに「1番はマモちゃんと共演できて」と、隣にいた宮野へ笑顔を見せると宮野も「嬉しいな。それと急な矢印が来る！？（笑）」と、笑みを返す。

　一方、宮野は「念願の福士くんとの福士くんとの初共演になります。僕らは（2017年の）『髑髏城の七人 season 月』でずっと一緒にいましたが、同じ役のWキャストだったので同じ舞台にいるのに共演にならなくて、コロナ禍のなかで、2020年にソーシャルディスタンス舞台でも同じ舞台でしたが（『浦島さん』『カチカチ山』で）別の作品で。そんな舞台を経て、パワーアップした僕らが立てるので、1番のオススメにしていかなきゃなと思っています」と、気合を入れる。

　なお、宮野に関しては中島氏による彼のキャラクターに合わせた“当て書き”となっていることも特徴である本作。このことに宮野は、「僕らを思って題材にしてくれたのも嬉しくて」と、喜びがあったそうで「口出し屋という生業なので声とか歌とかで物語に介入していく役どころにして頂いたので存分にと思っています」とも。

　ここでいのうえ氏から宮野の歌唱について「『髑髏城の七人』のときにお客さまから“なんで歌わせねぇんだ”というお声を頂きまして、『髑髏城の七人』の作品の雰囲気に合わなかったからなんですが、今回は歌を組み込みました」と、ファンの声が届いた結果という。この曲数について「僕はミュージカルをやらせて頂いてますが、ナンバーとしても1番多いかもしれない。7、8曲あります」とのことだった。

　司会からは福士と宮野の「髪型も似てる？」と指摘すると福士は「血も近くなってきてるんじゃという感じで（笑）」と、相当に慕っているようで、宮野は福士から絡んでくると話しつつ「普段プロモーションで一緒に回らせて頂けているときもわちゃわちゃしています」と語る。

　さらには宮野が「アクションスターがいるんで」と福士の方を向けば福士は「ミュージカルスターがいるんで」とすぐに返したりと仲よさげ。そこでお互いから共演を通して盗みたいものはあるかとの質問が飛ぶと、福士は「顔芸ですね（笑）」というと、宮野は「変顔してないんだけど」と、肩を落とす。続けて福士は真面目な話として「歌は横で聴いていて心地いいんです。高温から低音までレンジが広くて、なんでそんな歌うまいのと質問したりとかしていて」と、憧れがあるよう。ちなみに、宮野は福士が「いのうえさんの采配でいつか歌う日が来るんじゃと思うんです。歌う福士蒼汰を見れるかもしれませんよ」と、予告もしていた。

　逆に宮野は福士から盗みたいものとして、「まっすぐなんですよ。人の殺陣まで覚えちゃうくらい。そのピュアさが役にもぴったりだし、研究熱心なところはついていく自然とスキルアップでできるかなって、福士くんのやっていることをしっかり観察して、バディとして居て恥ずかしくない存在にと思っています」と、信頼を寄せていた。

　司会からは福士と宮野にお互いの好きな部分は？との質問もあり、2人から「なんでそんなことを（笑）」、「掘るなー（笑）」というなか、宮野は「TVとかではおとなしくしゅっとしてますけど、こんないたずらっ子はいないと。バディですけど、横にいるとずーっと棒でつついてくるんです。いらないでしょ、そのムーブメントは！というくらい（笑）。それで一人でケラケラ笑ってるんです」と気を許しているようで、福士はといえば、「えーっとたくさんあるんですけど……全部と言いたいです」と決めきれないなかで、「包容力があって優しいところで、何をやっても怒らない。それと、闇の部分も好きで、ダークサイドの部分も持っているのではと思って。こんなサービス精神が多い人ってなかなかいないです」と評価を。これを横で見ていた松雪は、「えー愛し合ってるんですね。ふふふ、素敵です」と、笑みを浮かべていた。

　ほかにも、髙嶋とのけいこについて宮野が「台本読みの時点から飛び抜けてましたよ」というと、髙嶋は「“（宮野が）いやーもうちょっと濃くていいかな”って言ったんです」と話す。しかし宮野は「それは言ってないです！だから後半のお芝居濃くなったんですか！？僕の声がイメージで聞こえたんじゃ……」と、翻弄される一幕もあった。

　そして福士から「殺陣も歌も多くてド派手な人の生きざまも描いているので、観てくれると嬉しいなと思います」とアピールし、宮野は、「華やかなお祭りの舞台ですのでみなさん来て頂ければと思っております」と、メッセージを寄せていた。

　いのうえ歌舞伎『神州無頼街（しんしゅうぶらいがい）』大阪公演は3月17日から同29日までオリックス劇場にて、静岡公演は4月9日から同12日まで富士市文化会館ロゼシアター大ホールにて、東京公演は4月26日から同5月28日まで東京建物BrilliaHALLにて上演予定！

　■ものがたり
　時は幕末、ところは駿河国の清水湊（しみずみなと）。
　清水湊にその人在りと噂された侠客・清水次郎長＜しみずのじろちょう＞の快気祝いのため、ある料亭に甲州駿河の名だたる博徒の親分衆が集まっていた。
　続々訪れる親分方を調子よく迎える男がいた。他人の事情に勝手に口を出しては銭にする“口出し屋“の草臥＜そうが＞（宮野真守）である。さっそく次郎長一家からも銭をせしめようと、幹部の小政の人探しを手伝うことに。次郎長が出入りで受けたひどい傷を直したという、評判の町医者・秋津永流＜あきつながる＞（福士蒼汰）だ。次郎長復帰の立役者を宴席に誘うため、探しにいく草臥と大政、小政。

　座敷では次郎長の快気を祝い、親分衆が膳を囲んでいた。そこへ、今売り出し中の侠客・身堂蛇蝎＜みどうだかつ＞（髙嶋政宏）が現れる。妻・麗波＜うるは＞（松雪泰子）、息子・凶介＜きょうすけ＞（木村了）、娘・揚羽＜あげは＞（清水葉月）を引き連れ、己の顔見せのために次郎長の宴席へと乗り込んだのだ。無作法な挨拶にいきり立つ親分衆だったが、突然もがき苦しみはじめた。首に痛みを感じた次郎長が掴んだのはなんと蠍（さそり）。当時のこの国では見かけない毒蟲を使い、親分衆を皆殺しにし、彼らのシマを貰うとうそぶくと姿を消す。そこに駆けつける永流。瀕死の次郎長だったが、永流は持っていた毒消しでかろうじて彼の命を救う。

　一方、辺りを調べに走った草臥は凶介に出会う。その顔は、昔なじみと瓜二つだった。だが、凶介は覚えがない。不審に思う草臥。
　日の本にはいない毒蟲を使う侠客。昔なじみにそっくりの男――。

　謎に満ちた身堂一家を探るため、永流と草臥は彼らの根城である富士の裾野の無頼（ぶらい）の宿（しゅく）を訪れる。
　蛇蝎と麗波が築き上げたその街は、喧騒と猥雑と絢爛と頽廃に満ちていた。
　豪胆にして無慈悲な蛇蝎が仕掛ける、人の命を金で買う大博打。その妖しき美貌と奇怪な術で人を惑わす麗波。草臥に刃を向ける凶介の正体は。揚羽と側近の風天千之介＜ふうてんせんのすけ＞（粟根まこと）らに秘められた過去とは。
　身堂一家が巻き起こす無頼の風に巻き込まれる永流と草臥。その果てに己自身の宿命と因縁が明らかになり、やがて、日の本の命運すら揺るがす策謀と立ち向かうことになることを彼らはまだ知らない。

　※記事内写真は撮影：田中亜紀