俳優・矢田悠祐、上口耕平、中村静香、松澤一之、彩吹真央らが17日、東京・銀座の博品館劇場で舞台『僕はまだ死んでない』(原案・演出:ウォーリー木下)公開ゲネプロを開催した。
“ロックドインシンドローム(閉じ込め症候群)”と呼ばれる、意識はあるのに身体が動かせず意思疎通ができない状態になってしまった主人公・直人。そんな彼を囲む幼馴染・妻・父親・担当医に起こる人間ドラマを通して“終末期医療“という答えのないテーマをリアルにユーモラスに描き出した。主人公の直人約と幼馴染の碧役は矢田と上口が回替わりで交互に演じる。
舞台はステージ上の床が砂となっていることが特徴。昨年10月にウォーリー氏演出・脚本で上演された舞台『「バクマン。」THE STAGE』(参考記事:鈴木拡樹&荒牧慶彦W主演「バクマン。」THE STAGE水と雨の演出のなか熱演で魅せる!施されたエモーショナルな仕掛け)は舞台上で大量の水演出を効果的に使いキャラクターの心情をより深く表現していた。本舞台の砂はその表現を彷彿とさせるようで、答えの出ない袋小路のような現実を、幻想的な表現に昇華するような働きを見せるものとなった。
初日へ向け出演スタッフ・キャスト陣からコメントが寄せられた。
○原案・演出: ウォーリー木下
緊急事態宣言の中で生まれたVR演劇版「僕はまだ死んでない」からはじまって、今こうして生の舞台でお客さんの前で上演できることに、喜びしかありません。思っていた未来が閉ざされることはこれから先もあるのだろうと思います。そんな時のことを何度も考えながら作った舞台です。それでも、まあこの人生捨てたもんじゃない、と思えるかどうかのヒントが詰まっている作品なんじゃないかなと思います。明確な答えはありませんがそれも楽しんでもらえたら。
○白井直人 役 / 児玉碧 役: 矢田悠祐
今回、直人と碧、2役演じさせて頂きます矢田悠祐です。
この舞台は終末医療、生死についての選択を題材として扱った作品です。
直人、碧ともに命について考える役ですので、自分としても初めてこういった事に対して向き合ったかもしれません。
ただ、自分にとってもみなさまにとっても、ひと事ではなくいつかその時が訪れる事だと思います。重たい部分だけでなく、コメディのようなやり取りもありつつ、そして真面目に考えることのできる作品になっているかと思います。
ぜひ劇場でご覧ください。
○児玉碧 役 / 白井直人 役:上口耕平
けいこを重ねるにつれて5人の登場人物それぞれの考え方、想いの色味が濃くなっていく中、それぞれが持つ真剣な愛情が軸として貫かれている作品であると感じています。真剣だから、痛くて、時に美しくて。
明日、世界がどうなってしまうのか、誰もが未知であるこの時代だからこそ、一緒に考えていく、という選択にも大きな意味があるのだと思っています。
観てくださった皆様に疑問を投げかけるのとはまた別の、その瞬間にみなさまと手を取り合って明日を見る、そんな時間になることを目指しています。
○白井朱音 役: 中村静香
私が演じるのは直人の妻、朱音です。
絵描きとしての夢を追う夫、その夢を応援する友人、しかしそのせいで家庭が壊れ、離婚の話がまとまった矢先に夫が倒れました。どこまでの治療をし、どんな選択をするのか。
複雑な想いの中、答えを出すのが難しい状況でそれぞれの想いが交差します”終末期医療“をテーマにコメディを交えながらお届けします。
劇場に足を運んで頂ければ幸いです。
○白井慎一郎 役: 松澤一之
私達は、1ヶ月以上の稽古を経て、無事に初日を迎えられることに、とても嬉しく思っております。
それぞれの役者が、役のキャラクターに真摯に取り組み、ウォーリーさんの演出により
魅力的な人物に作り上げました。
劇場のコロナ感染対策もしっかり安全にしておりますので、多くの方のご来場をお待ちしております。
○青山樹里 役:彩吹真央
約1ヶ月間のおけいこは、医者の青山樹里として、Wキャスト2人の患者(直人)と、そのご家族と向き合った時間でもありました。延命、終末期医療の論議の中に溢れる“愛”が深いからこそ、医者としてどう対処するべきか、それをどう表現するかを問い続けました。
コロナ禍の今、登場人物それぞれの想いに触れて頂きたいですし、人間ってどんな状況にあっても力強くて魅力的なんだなということも感じて頂けたら嬉しいです。
ウォーリーさんの、現実と非現実の境界線を美しく表現される演出は、役者としても刺激を頂いています。
配信でもお楽しみ頂けますが、劇場でしか味わえない演出もありますので、ぜひ劇場にも足をお運びください。
舞台『僕はまだ死んでない』は17日から28日まで銀座・博品館劇場にて上演予定!