『映画 バクテン!!』(監督:黒柳トシマサ/配給:アニプレックス)初日舞台あいさつが2日、東京・新宿バルト9で開かれ双葉翔太郎役・土屋神葉、美里良夜役・石川界人、築館敬助役・近藤隆、月雪ましろ役・村瀬歩、黒柳監督が登壇した。
『バクテン!!』は2021年4月から1クールでフジテレビ“ノイタミナ”ほかにて放送されたオリジナルTVアニメ。宮城・岩沼市を舞台に、『男子新体操』と出会い、強烈に魅せられた少年・双葉翔太郎が、私立蒼秀館高等学校(通称:アオ高)男子新体操部に入部。ときに挫折し、すれ違うも、共に仲間と過ごす毎日の中で一つの目標に向かって、チームでひた走る姿を描いた「スポ根×青春群像劇」として描かれた。本作は、フジテレビが東日本大震災から10年となる2021年に、岩手県・宮城県・福島県の被災3県を舞台にしたアニメ作品を発表し、アニメツーリズムを推進するプロジェクト「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の一環として制作されたという側面もある。
以下、公式レポート部分。
満員の客席から盛大な拍手で迎えられ、舞台挨拶がスタート。
まずは公開初日を迎えた感想についてのトークから。映画の上映前の舞台挨拶ということもあり、土屋さんは映画をお楽しみいただく前のウォーミングアップとして一緒に楽しみましょう、と、石川さんはこれから見るお客さんに対し、絶対に泣けるのでハンカチの用意を、と伝えました。
次に、6月11日に行われた完成披露上映会を受けて、SNSなどでの反響について聞かれると、土屋さんは最近始めたTwitterで、石川さんの“お客さんの方が魅力を伝えることがうまい”という内容のコメントを見たと告白すると、石川さんは“名ツイート”だと自画自賛し、すかさずそこに村瀬さんが、自分で言うのか!とツッコミが入り、キャストの仲の良さが窺えました。石川さんは、作り手側からするとお客さんがいないと作品は完成しないし、お客さんの方が言葉を紡ぐのがうまいと素直に思った結果のツイートだったと告白しました。
本作でキーパーソンともなるアオ高男子新体操部2年生の亘理役・神谷浩史さんと収録が同じだったという近藤さんは、収録終了後に神谷さんがぽろっとつぶやいた“この作品よかったね”という言葉が嬉しくてほっこりしたと当時を振り返りました。そしてアオ高のライバル校、シロ高男子新体操部の 1 年生・月雪ましろ役の村瀬さんが、双葉と美里の成長を見るとグッとくるものがあるし、映画の台本を見てその内容に衝撃を受けたと熱いトークを繰り広げていると、石川さんの腕からミサンガがちぎれ落ちるというハプニングが起こり、石川さんは、映画大ヒットの夢が叶います!と喜びの表情を浮かべました。
続いて、「新体操」というテーマについてのトークに移ると、黒柳監督は、男子新体操そのものが、自分自身を高められる競技だと言い、順位やライバルよりも親友や仲間という意識で、アオ高とシロ高もライバルだけどお互いを高めあえる関係だと語りました。また、作品制作前は新体操を知らず、実際に大会を見に行った時に感じた感動をアニメーションにして広く伝えたいと、企画が始まった熱い経緯も明かしました。
「バクテン!!」は新体操の試技シーンでの指先やつま先まで繊細に描かれていることも話題になっていますが、そのことについて土屋さんは、6月29日に黒柳監督と一緒にアオ高の参考ともなった名取高校に表敬訪問したことを振り返り、その際に男子新体操部の監督から黒柳監督に、新体操の繊細な動きをあそこまで表現してくれると思わなかったと話しているのを聞き、「バクテン!!」が足がかりとなって男子新体操が人気になって
くれればと語りました。
また、「バクテン!!」はモーションキャプチャーも使用しているためカメラワークも注目だという話になり、監督は当初、客席から見たままを撮影する方法と、カメラをマットの上に置いて撮影する方法の2パターンがあったと明かしました。すると近藤さんから、マットの上にカメラを置くと着地したときの衝撃でカメラが飛んでしまわないかと質問が飛ぶと、実際にカメラを置くとそうなったと、後者のパターンも試したのかとキャスト陣
からツッコミが入りました。最終的には上空や様々な角度にカメラを設置し撮影したと明かしました。
続いて、アオ高とシロ高の関わりについてのトークになると、村瀬さんはネタバレキワキワで話しますよと前置きし、人間うまくいくときといかないときがあって、ましろはそれを体感的にうまくとらえていると話しました。また本作では、ましろの目を通してのアオ高の描写も描かれていると言い、シロ高が出ることによってよりアオ高の状況が伝わりやすい。とまとめると、“めっちゃうまく(ネタバレを回避して)トークしてる!見終わったら分かってくれるはず!”と自身を絶賛しつつ会場の笑いを誘いました。
美里の心情の変化もみられることについて、石川さんは、PVでもわかる通りちょっとした揉めごとがあると内容を話し、そこにどう向き合っていくのかが注目だといい、1シーンごとに成長していると自身のキャラクターについて語りました。またインターハイのその先も描かれる本作では、それぞれがぶち当たる壁をどう乗り越えていくのかが見られると土屋さん、近藤さんが揃えて同じ感想を語
りました。そして、近藤さんは成長の先にたどり着くラストにさわやかな感動が待っていますと作品の良さを語りました。そして監督は、大会で勝っても負けても、彼らの人生はその後も続いていき、青春は通過点だと考えを述べ、“青春”は言葉を変えてみんなの中にずっと続いていくものだと、「バクテン!!」でそれを伝えたかったと熱い想いを打ち明けました。
最後の挨拶では、土屋さんは本作が 3 作品ある「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」の最後の作品だといい、キャラクター名が宮城県の地名になっていることを知った時に、本作が担うもの、伝えたいことの大きさに圧倒されたと言います。役者として本作に携われることを光栄に思いキャラクターを演じてきて、本作への願い、思い、祈りがポジティブに前向きに明るく込められているといい、涙を浮かべました。この暖かい作品をたくさん愛してほしいと呼びかけ、最後に志田監督の劇中のセリフ、 “楽しんで!”と客席に言葉を投げかけ舞台あいさつは幕を閉じました。
※記事内写真は(c)映画バクテン製作委員会