“キスマイ”の愛称で親しまれているアイドルグループ『Kis-My-Ft2』の藤ヶ谷太輔が3日、東京・世田谷パブリックシアターで主演舞台『野鴨-Vildanden-』(演出:上村聡史)取材会を俳優・忍成修吾、前田亜季、浅野和之とともに開催した。
ノルウェーの劇作家ヘンリック・イプセンが1884年に発表した作品。納屋を“嘘”、外の世界を“真実”、そして“野鴨”を我々人間にたとえることで、自己欺瞞によって自らを守ろうとする人間の弱さや、独りよがりの正義を振りかざす愚かしさを描き出す。
取材会前には、メディア向けに1シーンがお披露目。仄暗い照明のなか、細かい仕草などで、それぞれの関係を窺わせるお芝居を披露した。
いよいよ初日を迎えることに、「僕はこの劇場も、イプセンの作品も、上村さんの演出もすべて初めてなので、挑戦しているという気持ちです。それと同時に挑戦させて頂ける環境があることがありがたないという思いもあります」と、感謝を口にするとともに、「難しく思われるかもしれませんが、現代に通じるものがたくさんあると思っています。それを観て頂くために、われわれがしっかり繊細なお芝居をしっかり伝えないといけないと感じていて、ドキドキと興奮とちょっと怖さが入り混じっています」と、心境を。
その“怖さ”の部分へは「長い時間の会話劇なので、昨日はセリフを飛ばす夢を見ましした(苦笑)。最悪な状態です。でも、カンパニーのみなさんを信じてと思っています」と、夢にまで出てきたのだとか。ちなみに、セリフを飛ばしてしまう夢は以前にも「初ミュージカルの時は見ました」とも。
さらに、藤ヶ谷は、「そのときは、自分でどうしようというより、先輩方に助けてもらおうと思って」というと3人をみまわし、「いままでそういう夢を観て、実際にそうなったということはなかったんですが、もし正夢になったらフォローをよろしくお願いします」と、懇願する。これにあわせるように忍成がこの場で言いたいセリフが飛んでしまい「僕もそうならないように頑張りたい」と苦笑いしたり、浅野が「助けてください!」と乗っかり、藤ヶ谷も「助け合いですよ、チームですので(笑)」と、安どする様子を見せていた。
劇中で藤ヶ谷は、理想を追い求め、真実こそが正義だと信じてやまない“正義病”のグレーゲルス役を演じている。この役柄へ、「自分自身にとって、正義感を振りかざすタイプは上位に来るくらい苦手なタイプなんです。けれど、きっと自分の中にも無意識に正義感を振りかざしているところがあるんだろうなと思って。そういうことも考え出すと楽しくて」。この役作りを参考にした人は?という質問には、「ノーコメントでお願いします」というと少し間を置いて「いやいないですよ(笑)」と、お茶目に笑う。
ただし、「今回の作品では初めて事前にテーブルげいこをして。そのときに、描かれていないところところとか、出会う前にはどこにいたとか、歴史のことも(演出の)上村さんに教えていただきながら、そういう流れの中で、自分の役を自分で作ったとうより、みなさんの意見を咀嚼しながら、キャラクターを作っていけたかなと」と、役を作っていったそうだ。
話題に挙がったテーブルげいこについては「上村さんから『このセリフをどういう気持ちで言っている?』と、を聞かれたりしたんですけど、しっかり答えられるところと、そこを突かれたか!というところがあって。深く深く台本を理解しないといけない、理解したうえで表現をしていかないといけない」と、しっかりと詰めていったようだった。
本作の準備期間は多めにとられていたことも明かされたため、オンとオフの切り替えをどうしたのかとの質問も。藤ヶ谷は、久しぶりに、「休みの日に1人で車に乗って海を見に行きました」というと、横から浅野が「まーた格好いいこと言って!(笑)」とイジっていたが、「海の家で若者たちがキャッキャしていて、俺も入りたいと思いました。そこはグッとこらえましたが、リフレッシュすることができました。ただ、移動中もけいこのときの音声を聴いて移動だったので」と、ずっと役のことばかりを考えていたそうだ。
また、今後もこうした挑戦は?との問いかけには、「表現するということをやり続けたいです。いろんな作品で、いろんな演出家さんと出会って、自分を変えて頂きたいですし、新たな一面を見てみたいという思いがずっとあるんです。あとは、おこがましいかもしれませんが、僕らのキスマイのファンのみなさんが観に来たときに、『演劇って面白いな』、『劇場に行ってみようかな』、『この演出家さんの作品観てみようかな』、『この役者さんの作品観に行ってみようかな』とか、演劇っていうのが広まったら良いなと思っています。そうして演劇で広まったときに、『あの藤ヶ谷って人はキスマイの人なんだ』と知って頂く機会にもなると思います。いろんな広がり、可能性を信じて、怖がらず失敗もあるかもしれませんが、挑戦し続けていきたいと思います」と、グループと演劇の発展を願ったコメントを残していた。
そして藤ヶ谷は「すべてにおいてこだわって作りました。そういうところまで届くと思って作っています。テーマは今に通じるものが入ってますので、劇場でお待ちしています!」と、メッセージを寄せていた。
舞台『野鴨-Vildanden-』東京公演は3日から同18日まで世田谷パブリックシアターにて、兵庫公演は21日から同25日まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演予定!
■あらすじ
豪商ヴェルレの息子グレーゲルスは久しぶりに山にある工場から戻り、幸せな家庭生活を送っている親友ヤルマールに再会する。
そこで父ヴェルレの使用人だったギーナが、ヤルマールの妻になっていることを知り、ある疑惑が芽生える。
グレーゲルスとヤルマール二人の父親は、かつて工場を共同経営していたが、ヤルマールの父エクダルがある事件の罪を一手にかぶり投獄され、家族は没落してしまった。
また、ヤルマールの妻ギーナは、過去に父ヴェルレとただならぬ関係があり、その負い目から、父ヴェルレはヤルマール家に援助を与えていた。
そのささやかな家族の幸福は、嘘で塗り固められた土台の上に立っていた。
友に真実を告げて、真の幸福な家庭を手に入れてほしいと願うグレーゲルスだったが…。
■出演キャスト
藤ヶ谷太輔、忍成修吾、前田亜季、八幡みゆき、伊達暁、吉野実紗、山森大輔、齋藤明里、村上佳、大鷹明良、浅野和之
※取材会別記事
・藤ヶ谷太輔 ミラツイ共演の古谷一行さん死去に「すごく寂しい」
・藤ヶ谷太輔「色気漏れすぎてる」ダメだし!「調子乗るな」に爆笑
※藤ヶ谷太輔過去記事
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