化粧品メーカーの資生堂が26日、東京・銀座の「資生堂ギャラリー」で10月26日~11月10日まで開催される企画展『LINK OF LIFE 2017 まわれ右脳!展』オープニングイベントを行った。
企画展『LINK OF LIFE』は、資生堂の研究員、社員と外部のアーティスト、企業・団体が出会い(リンクし)、“新しい美”の創造に取り組むもので、2015年から開催され、今年で3回目となる。
今年度のテーマは、「右脳を刺激して感性を研ぎ澄ませ、遊びゴコロを満たして美しさを重ねる」=「asobi-neering(アソビニアリング=造語)」という考え方を新たに提唱して、感性(右脳)によって人が本来持つ美しさを引き出すアート作品を発信する。
同企画展のチーフプロデューサーで『株式会社資生堂』企業文化部 グループマネージャーの益井澄子氏は、「情報技術が進化していると五感で感じる力(感性)が衰えている可能性がある。衰えた感性は美にどう影響するのか。これからますますAIが発展して身近になってきたとき、この感性がきっと重要になるのではないか」というのが、着眼点だったという。
この考え方を「感性美容理論」と名付け、感性を刺激することによって美しさを引き出す研究をしているという。「LINK OF LIFE」は、まさにそれを実践する研究(発表)会であり、展覧会であるという。
肌と心はつながっているため、五感(聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚)で感じた感情が肌の生理反応に現れる。具体的には、楽しい、うれしい、刺激的などという感情が肌を生き生きとさせる効果を化粧品とシナジーを生む「第二のスキンケア」と呼ぶ。
益井氏は、「スキンケアやメイクではなくサイエンスに裏付けられたアート作品。アートで人を美しくする挑戦を企画展「LINK OF LIFE」で達成していきたい」と、開催趣旨を語った。
今回の作品は3つ。
「A Room Of Dis-edge 身体の境界がとける部屋」
肉体的な対話に着眼したアート作品。人体通信とアートを融合して、自分の体と物が溶け合うようなコミュニケーション。未来の対話を体験できる作品。
演出家/クリエイティブディレクター・古屋遥
「人体通信という人体を電解質としてとらえたとき、人の体と体や人の体とモノが触れあったときに電気という視点で見た時にひとつにまとまるような、つながるような体験をどうやって作れるか実験してみた作品」
体験ポイント:ヘッドフォンをしてドラム缶の上に張った水の中に手を沈めると、ヘッドフォンから「音」や「声」が流れだす。その仕掛けとは・・・。
「Hunan×shark」
日本の女性は“おしとやか”で“弱い”という「理想の日本女性」の型にはまっている。可能性がまだまだ閉じ込められた状態にある。そういう女性をエンパワーメントする作品。「理想の日本女性」の型から閉じ込められた野性を解き放つために、映像と香りによって、一時的に日本女性が「鮫(サメ)」になる。鮫を体感していただき、自分の可能性をもっともっと広げていただきたい。
アーティスト/デザイナー・長谷川愛
「人と鮫をつなぐ構成ができないのか。足りてない情報があるような気がして、それがケミカルコミュニケーションだったのではないか」
体験ポイント:ダイバーがサメのメスに化けるため、特殊な材料を用いてオスザメを誘惑する香水を作れるのか?という実験。身体に赤い液体を塗り、ウェットスーツを着用。その上から青い液体を塗り、海の中へダイブ!オスザメの反応は・・・。
「The Scent Of Life」
現代に生きる女性の輝き、多様性、矛盾を体験できる形のインスタレーションで表現している。ダイバシティを応援する作品。食品、香料、それぞれ使われるフレーバー、フレグランスの成分を微妙な形で配合を変えることによって、女性の多様性、表と裏を実際に体験できる。男性の方は、女性の気持ちってこんなことなのかなと思ってほしい。
アーティスト/研究者・清水陽子
「『The Scent Of Life』は、『人生の香り、生命の香り』という意味になります。多様な女性の姿をGIC研究所の宮永さん間中さんとコラボレーションさせていただくことで、さまざまな天然の草花から得られた抽出物を様々な配合率で混合することによって、女性の輝き、それだけではなく内面で抱えている葛藤や矛盾などを表現し、それを全てひっくるめて、自分を受け止めて様々な女性を祝福できる作品になればいいなぁと思って制作しました」
体験ポイント:天然の草花やフルーツを一番上の乗せた、巨大な抽出装置。その手前に、様々な配合率で混合された瓶に蓋をするように、逆さにしたグラスが置かれた台がある。それぞれのグラスをひっくり返して香りを聞くと、さまざまな香りに出会う。怒の香りが好みだろうか・・・。
3作品は、体験型アートなので、文字で長々と説明してもわかりづらい!感性を研ぎ澄まし、感じたままに五感を刺激してみては・・・。
ちなみに展示会場となる「資生堂ギャラリー」は、1919年に初代社長が「新しい美の発見と創造を重ねる」という理念のもと創設したもので、再来年の2019年には創設100周年を迎えるという現存する、日本で最古といわれるギャラリー。
創業から145年、「新しく深みのある価値を発見し、美しい生活文化を創造する」という企業理念のもと、時代とともに“新しい美”を生み出し、社会に提案し続けてきた資生堂の芸術文化の象徴であり、資生堂の独自性の源泉になってきた場所。
企画展『LINK OF LIFE 2017 まわれ右脳!展』は、東京・銀座の「資生堂ギャラリー」で10月26日~11月10日まで開催されている。