ロックバンド『X JAPAN』のベーシストで、10月29日に大腸がんのため亡くなったHEATHさん(享年55)。HEATHさんのお別れ会「HEATH お別れ会―献花式 HEATH Farewell & Flower Offering Ceremony」が28日、東京・渋谷のSpotify O-EASTで行われた。
本会は『X JAPAN』リーダーのYOSHIKIがHEATHさんからの遺志を受け、遺族へ「献花式にかかるすべての費用を自分が負担させていただきたい」との申し出により参加無料で行われたもの。
『X JAPAN』をイメージした赤い薔薇を献花され、祭壇はそれに合うように白を基調とした装飾に。その遺影の両脇にはHEATHさんのベース10本が飾られる。その遺影の前にはピアノが設置された。
午後10時半すぎ、約100人の関係者が見守るなか、YOSHIKIが壇上に姿を見せ、HEATHに赤い薔薇の花束を献花。10秒ほど黙祷を捧げる。
そして、YOSHIKIは、HEATHさんを送る弔辞を消え入るような声で涙ながらに語りだした。
「きょうね……みなさん、お集まり頂いてありがとうございます。きょうは……HEATHのお別れ会……ということで、きょうはね、昼からファンのみなさんに集まって頂いて、こうやってバンド関係のみんなが集まってくれてありがとうございます。HEATHがX JAPANに加入したのはもう30年以上前になります。ニューヨークのロックフェラーセンターというところで、会見を行ってHEATHの加入を発表しました。その時にXからX JAPANになりました。HEATHの加入……hideくんの紹介があって……いろんなことがあったんだけど『HEATHしか居ないだろ』って……ね」
「大事なX JAPANのTAIJIとX JAPANが別れた後も、きょうに至るまでずっとHEATHがそのX JAPANのメンバーであり、いつも支えてくれて……」
「みなさんもご存知の通り『X JAPAN』というグループは波乱万丈だらけできました。ほかのメンバー同様そんなグループを、いつも誇りに思って、『自分は「X JAPAN」のベーシストですから』『いつどんなときでも準備はできています』と……」
「解散・再結成を経て一緒に世界中を周りました。南米、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカ……そして今年の8月に一緒にね、僕のショーでセッションしたんだけど、『なんか先日まで具合が悪いんで痛い』と聞いていたんだけど当日は『元気です!』と来てくれて。まさかそれが最期に会う日になるとは思ってもみなかった。きっとHEATHも最期の日になると思ってなかったと思う。そして10月末、自分はニューヨークにいました。コンサートを終えて、ロックフェラーセンターの前を通って、そして、夜が明けたら次の日、HEATHが旅立ったことを知りました」
「みんなもね。HEATHとの思い出、いろんな……それぞれの思い出があると思う。HEATHだけじゃなくていろんな別れがあったけど、、やはり僕らが、前に進むことが最大の恩返しなのかもと。正直……そうね……『X JAPAN』のことを言わせてもらえるなら、自分を責めても責めきれないくらい、なんであのタイミングで自分は動かなかったんだろう。なんで、HEATHはいつでも……いつまでもいると思ってしまったんだろう」
一言一言紡ぐように話すYOSHIKI。途中からはとめどなく涙が流れ、それをぬぐいながら話を続ける。
「なんでこんな最近まで、どれだけHEATHがこのバンドに貢献してくれていたのか……そういうことを考えていると、みんなも自分も前に進めなくなるんで……最後に遺族の方から預かった言葉……『いつかメモリアルコンサートをやっていただきたい。それはYOSHIKIさんにすべてお願いしたい』……」と、言い涙をぬぐうと、その思いを受け止めるように「うん」と言ったYOSHIKI。
「きょうはね、そういった僕らがHEATHのために前に進まなきゃいけないっていう今後の僕らが行うイベントや決意表明でもあるのかなと思っています。そしてHEATHが言っていた『みんなで明るく送ってほしい』……」というと、HEATHさんの遺影の方を振り向き、「HEATHはこの遺影の写真を選んでいたそうです。最期までロックミュージシャンとして生き通した。なんて格好いいやつだったんだろうって思います。どんな曲を、どのように捧げていいかわからないし、hideが亡くなったときに、『Forever Love』を演奏したけど、今夜この曲をHEATHに捧げたいと思います」
と、ゆっくりピアノに向かうYOSHIKI。涙を何度も拭ってから鍵盤い向かうと『ENDLESS RAIN』を演奏。優しく降り注ぐような、音の雨が会場を満たした。演奏後、YOSHIKIは再びHEATHさんの遺影の前に立ち、黙祷を捧げ、1度舞台を降りた。
そのYOSHIKIに入れ替わるように、X JAPANの現メンバーであるPATA、SUGIZOが登壇し、それぞれ薔薇の花を捧げ、そこから会場に集った著名人が献花をしていた。
お別れ会の最後は全員で記念撮影。PATAが「笑顔でお願いします」と、全員に呼びかけたり、記念撮影の際に、Xポーズはどうかというカメラマンに向けYOSHIKIは「それはちょっと違うと思う」と、止めると会場内は笑いに包まれ表情も和むなか、撮影を終えた。
撮影後あらためてYOSHIKI、PATA、SUGIZOが集まってくれた関係者らの方に体を向き直す。「バンド関係のみんなも忙しいなか集まってくれてありがとう。PATAも言ってたけど明るく、ロックにな感じで送り出してほしいとHEATHが言っていたので、みんながきっと頑張ることが、何よりのHEATHに対する恩返しだと思ってるので、みんなも頑張ってください」と、声をかける。
PATAは「笑顔で見送ってやってください。自分の思いを伝えてやってください」というとSUGIZOは「いつも言うことですけど、どんどん仲間があちらに先に逝ってしまいます。残された僕らは、最後までロック続けましょう」と伝え、その話をしているなかでも、お互いの背中をポンと数度叩き合う。さらに3人は記者たちの方に向き合うと、丁寧に頭を下げた。
そして、PATAが「あいつにバイバイしてやってよ」と言い残すと、その場を後に。残ったYOSHIKIとSUGIZOは集まった関係者1人1人に握手や軽く肩をたたきあったり、ハグをしたりのやりとりをしていた。