俳優・泉ピン子が3月5日に東京・講談社内で書著『終活やーめた。』(講談社)発売を記念した会見を開いた。
18歳で漫談家としてデビューし俳優として活躍している泉の著書。父のがん、ドラマ『渡る世間は鬼ばかり』などを手掛けた脚本家・橋田壽賀子さんの死、50歳での何億円もの借金、スキャンダル報道、栄養失調など波乱万丈な泉による著書。「私の拙い経験でも、もしかしたらピンチに直面している誰かの励みになるかもしれない。年齢問わず、今がピンチだと感じる人に手に取っていただけたら嬉しいです」という気持ちからつづられている。
会見の定刻時間を1、2分ほどすぎてそろりと入ってきた泉。事前に記念撮影の予定だったが、マイクを持つと「77歳になると大事な用の前に昼ご飯食べちゃ駄目ね。それは学びました。もう眠くなっちゃってる」とさすがに年齢を感じさせるような弱々しいコメントを……したかと思われたが、報道陣を見回すと「きょうで最後だと思って取材来てるでしょ。死んだときの写真と映像はきょうのから使うつもりでしょ」と、エンジンがかかりだし、冴えわたるトークで報道陣を引き込み、そこから泉による漫談オンステージが開幕!
約15分ほどとうとうと喋り続け、報道陣を爆笑させ続けた泉。司会が無理矢理話に割り込んで、なんとか記念撮影や質疑応答に持っていったりと、“ピン子節”を連発し存在感を放つこととなった。
そんな泉だったがしっかり本書のことをPRも織り込みながら“漫談”終活をやめたことへ、終活をしようとしたところ、周囲から何かしら形見分けがほしいと言われることが多いうえ、「5回か、6回くれるまで出してきたストーカーのように怖くなって終活はやめた」といいその形見分けも、「親戚の親戚の親戚までラーメン一杯ごちそうにすらなってない人に、ハンカチ一枚だってやりたくないじゃん」という気持ちもあるためやめたそう。
それと対比するように、西田敏行さんのお葬式に出席したそうだが、西田さんのご親族から、「知らない親戚の方ばかりだと言われて、おじさんのいとことか、一応親戚だから来ちゃうのよ」という大変さも目撃したのだそうだ。
書籍のなかで語られる“ピン活”については、ピンチをチャンスに変える活動だそう。その“ピン活”の効果は自身が数億円の借金をかかえたときに、「みんなが『破産しろ』というんです。それで、“ふざけんな!泉ピン子が破産などするか”“返してやろう!”って言って。そう言ったら、人生って変わったんだよね。『ぴったんこカンカン』が始まったのよ。この番組を終わらせないために、まずは、そうだバスガイド(企画を)をやろうと思って」と、次々アイデアを出したという。その自身が必死にアイデアを出したこともあり、「その構成作家には今言いたいね。金返せって。返せ金。今考えるとさ、『渡る世間は鬼ばかり』のときもそうだけどさ、借金もあったし、それを返していくための活力にもなってるし」と、言いたい放題の中に活力になった出来事を織り交ぜて話したが、その最後にはちゃんと、「いや、ありがたいわね。 うん。 ありがとうございます」と、感謝も口にする折り目の正しさも。
泉はとどまることを知らず野球談義や大谷翔平選手や佐々木朗希選手のこと、さらにはパーキンソン病の家系で同じくパーキンソン病を発症したことがある泉にどういう心構えでいいのかを聴かれて自身が膵(すい)炎を患ったエピソードまで披露し、1つ1つ答えたため、あっという間に会見終了時間を迎え……というか予定時間を15分以上超え、講談社スタッフがやきもきと会見を終えようと話を持っていく様子が。そして最後にと振られた際には、誰に言われるでもなく、パーキンソン病の家系の記者に向かってあらためて「親の遺伝というのは糖尿病にはあるけど、“元気でいる!”と、思う自分の気持ち1つだから。お気を付けください」と、激励を送るなど、その人となりを次々と見せる会見となり、その最後の最後にはしっかり「(書籍が)Amazonで売ってるから!」と言い残し元気にそ場を後にしていた。
書著『終活やーめた。』は1980円(税込)で発売中!
取材・撮影:水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ