2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさん(21)が23日、都内で『第5回国際女性会議WAW!/W20』内のパネル・ディスカッションに参加した。
『WAW(World Assembly for Women)!』(通称:ワウ!)は、世界のさまざまな地域、国際機関から女性の分野で活躍するトップ・リーダーが参加。その目的として、日本および世界における女性1人1人が発展や改革に必要な力をつけていく、いわゆるエンパワーメントや、女性の活躍促進のための取り組みについて議論を行う場として、2014年から開催しており、今年で5年目となる。
女子らが教育を受ける権利を世界に強く訴えているマララさんは、母国のパキスタンにおいて、イスラム武装勢力による女子教育抑圧を告発。12年に銃撃を受け自身も重傷を負ったが回復、14年に史上最年少の17歳でノーベル平和賞を受賞した。今月22日に初来日を果たし、首相官邸を訪問すると、安倍晋三首相と会談、共同記者発表を行った。
『WAW!』に参加したマララさんは、基調講演に立った後、パネルディスカッションにも登場。ゴールドマン・サックス証券株式会社副会長のキャシー・松井氏がモデレーターを務め、マララさん、国連人権高等弁務官のミチェル・バチェレ氏、大阪大学総長の西尾章治郎氏、ブルガリア司法改革担当副首相兼外務大臣のエカテリーナ・ザハリエヴァ氏をパネリストに行った。
ディスカッションは『技術革新と変容する社会における人材育成』をテーマに進行した。「マララ財団を通じてさまざまな活動をされていますが、その立場から見ての感想は?」と問われたマララさんは、「特定の社会や地域、グループの中で、素晴らしい技術革新から取り残されている可能性がある地域グループがあるのではないでしょうか」と、切り出す。
続けて、マララさんは「技術革新、変化は押し寄せています。この技術の変化によって、10億人の女性が学校に行っている行かないにかかわらず、十分な教育を受けていないということで取り残されていく可能性があります。もちろん、ナイジェリアなどのような諸国だけではなく、先進国においてもこういった危機があるわけです。これはグローバルな課題であって、世界の隅々まで活動、支援が必要だと思っております」と、意見を。
さらに、マララさんは、「この技術的変革をメリットにすることもできるわけです。たくさんの利点もあってもちろん教育に使えたり、世界のどこにいても誰しもがこういう技術を使うことによって、情報へのアクセス、教育へのアクセスが可能になります。かつ、それぞれの活動にも使うこともできるかと思います。政府による信金、あるいはG20での取り組みも1つの例です。あるいは、ビジネスリーダー、企業からの支援というのも、女性が技術にアクセスできるように、あるいはSTEM(ステム)教育をできるように支援を施すということも可能だと思っております。そして誰しもが権利を行使できるように、そんな世界を目指すべきだと考えております」と、思いを語った。
そして、「マララ基金が展開している活動ですが、貧困、あるいは人種差別、あるいはそれ以外に困窮に遭っている人たちを救い出そうという取り組みを全力で行っています。われわれとしては、非常に強力な投資をすることができますので、ぜひともみなさんのご協力をお願いしたいと思います」と、呼びかけた。
また、安倍首相が『WAW!』開会のあいさつで、「すべての女子が少なくとも12年間の質の高い教育にアクセスできる世界を目指す決意を首脳たちと確認したい」と、今年6月のG20首脳会議で提議するとしたことへ、コメントを求められたマララさんは、「安倍首相のお言葉で、『12年間の質の高い教育』というのは、私から口に出して言い出すことができなかったんです。未来の社会にとっても、女性たちの教育は資するものがありますので大変嬉しく思っています」と、笑みを見せつつ、「G7、G20そして安倍首相の方から、それ以外の首脳陣からもこういった声がどんどん増えればと願っております」と、希望を語った。