吉本興業株式会社が19日、東京・新宿区の同社本社で『第2回経営アドバイザリー委員会』を開催、同委員会で座長を務めた国際医療福祉大学教授の川上和久氏がメディア向けに説明の場に立った。
6月から報じられ続けられている闇営業問題に端を発した同社の問題について、その社内改革を目的に『経営アドバイザリー委員会』を設置。7人の有識者が経営にかかる懸案事項について、専門的知見から助言・アドバイスを提示し、社内改革を進めていくもので、いわゆる第三者委員会のような不祥事を調査してその責任の所在や社内処分のありかたを提言するものではない。
今月9日に開催された第1回では、今後(1)反社会的勢力の完全排除へ何を実行すべきか、(2)所属タレントとの契約に関して、(3)コンプライアンス体勢の検討とあり方について、(4)コーポレート・ガバナンスのあり方についての4点の審議を進めていくと、大枠を発表。同日には、川上氏から反社会的勢力と、約6000人のすべてのタレントとの契約について集中的に議論し、反社会的勢力との決別も含めた条項の入った『共同確認書』を全員と結び、『共同確認書』をベースに、『マネージメント契約』、『専属エージェント契約』の2種類を選択することができると発表した。
第2回でも、引き続き反社会的勢力の排除、芸人たちとの契約などを集中審議したという。
まずは、新規事業社と仕事をする場合の反社会的勢力のチェック体制をパネルを使って説明。業務担当者から総務・専門スタッフが外部委託業者に1次調査を依頼、外部委託業者はGoogleなどの検索などを行い、総務・専門スタッフへ回答を戻し、その会社に懸念事項があれば2次調査を日経テレコン・帝国データバンク・日商リサーチ・暴力追放運動推進センター・特殊暴力防止対策連合会のデータベースで照会すると説明。
続けて、芸人たちが吉本興業に黙って直営業をしてその相手が反社会的勢力だった場合の想定についても審議したといい、川上氏は「極端にいうと自己責任ではないかという話も出ました。ですが、世間はどう考えるかということです。そういうような間違ったことをしてしまったタレントさんでもある一定の期間反省し、社会貢献もして復帰していいパフォーマンスを見せてくれることを期待するという考えもあると思うんです。ですから、あまり契約でギチギチに縛って、アメリカのようにドライに『はい、契約解除』はどうなのかなという意見も出ました。望ましくないことは当然のことだと思います。それをどこまでチェックできるかということだと思います」。
そこで、反社会的勢力に『直営業』で関わった際の罰則は共同確認書には明記せず、これまで吉本興業が使っている24時間対応のホットラインというシステムを生かすという。これはストーカー行為を受けているなどの相談などへの対応を受けているものだそうだが、川上氏は「自分が直営業をして、まずかったかなというときにホットラインは使いにくいですよね。出てきにくいと思います。そこでコンプライアンス研修なども行い、そういう場合、事後でもいいからホットラインを活用して言ってくださいと。何かあった場合に自己責任と吉本興業としてもなかなかいかないという話になると。ただ、そのままポケットに入れると脱税になるんです。それだったらちゃんと税務申告してくださいとかコンプライアンスに基づいた正しい指導ができる部分があると思います。反社うんぬんということではなくても、コンプライアンスを遵守するような形でやってくださいという形をホットラインを使うことで活性化できるのではないかと思います」と、例を交えて説明。
共同確認書にペナルティーを明記しないがそこは「ケースバイケースで違ってくるし、社会的通念に照らして、契約解除とか謹慎は私は当然あっていいと思います」と、川上氏の持論を述べた。
なお会見では、共同確認書をかわすにあたり400人から500人ほどのタレントにヒアリングしたということや、今後、タレントらに向けて契約説明会を実施することも明かされた。