小泉進次郎環境大臣(38)が29日、東京国際フォーラムホールB内で『日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム(SIF)2019』の基調講演を行った。
今年は『行動から始まる、新時代。』をテーマに開催。行動を起こすことの大切さについて話し合っていく。小泉大臣は2016年から4年連続の参加となる。
「毎年参加させて頂いておりますが、ソーシャルイノベーションが最も必要な立場になりました。それが環境省の環境大臣という立場です」と、自身の役職への気持ちを語り、「私はきょうこの与えられた時間で、1つでも日々の生活、自治体、企業での取り組みにできることがあるのではないかと楽しみにしておりました」と、あいさつし『環境省にしかできないこと』をテーマに講演を展開していくことに。
壇上で、気候変動の多国間の国際的な協定となり、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満に抑えることを目指す『パリ協定』のことや、CO2を排出しないような世界を作る脱炭素社会などを挙げつつ「日本では気候変動という言葉すらメジャーではないのではないかと思っております。まだ、日本では環境問題、気候変動のことを話すときによく地球温暖化という言葉を使います。ですが、世界では、地球温暖化という言葉はあまり聞かれなくなりました。むしろ、気候変動という言葉を使っていますが、それも今年あたりから変わってきたと感じています。気候変動から気候危機というくらいの機運が出てきています。グレタ・トゥーンベリさんがスピーチをしましたが、最もパワフルで印象的な空気をそこに残していったと感じました」。
続けて、環境問題で海洋プラスチックごみ問題をクローズアップ。「このままいけば、いまから30年後の2050年には海の中が魚よりも海洋プラスチックごみの方が多くなる海になる。『パリ協定』が達成できなければ、2100年、日本の9割の砂浜がなくなります。私は神奈川・横須賀市で育ち、海に囲まれている街で育ちました。サーフィンもやっていました。だけど、このままいけば未来の横須賀に砂浜はありません。もしかしたら、みなさんが住んでいる砂浜はこのままいけばなくなるというのがいまのままの未来であります。1992年の『リオデジャネイロ宣言』から気候変動に取り組もうと始まり、97年には日本が主導して、『京都議定書』を作り、それがいまの『パリ協定』につながりました。『京都議定書』は日本が代表する世界の枠組みを気候変動で決めた話題として話題になり、リーダーとなりました。しかし、いま日本は世界から“コール(石炭)ジャパン”というふうに言われる現状もある。私はもったいないと思います。日本が世界のなかで胸を張れる取り組みを気候変動の分野でやっているにもかかわらず、石炭の1つで良い取り組みが覆われてしまう。私はなんとか変えたいと思って取り組みを進めています」と、脱炭素化に向けて自身がとった施策などを説明し、それを来月開催される『COP25』でのテーマにも挙げた。
さらに、「2050年に海の中は魚よりプラスチックごみの方が多くなる。なんとかそういったことは食い止めたい。こういった取り組みに1人1人が本当に自分ごとになるのはそんなに簡単ではないと思います。そこで何かのきっかけになればと思って」と、巨大なカメの鼻にプラスチックストローが詰まってしまいそれを取り除こうという動画を上映。血を流し、プラスチックストローを引き抜こうとするたびに痛がって首を振るカメの姿に「どう感じられますか。こういったことを見たくない人もいっぱいいると思います。でも、私はこの動画を観て本当に胸が痛みました。これが起きている現実だと。あんなに痛そうにしているカメの姿、私ははじめて見たし、それが起きているのはわれわれ人間社会が生んでいるものだと。私は来年1月に自分の子供が生まれていますが、その子供が30歳になったときに、海はプラスチックごみの方が魚より多い。そういうことになるのかと。そういう未来は残したくないなと思いましたし、海のない、砂浜のない横須賀は見せたくないなと。そういう思いがいま私を動かしています。なにか、みなさんにとって考えるきっかけになってもらえたら幸いです」と、気持ちとともに話していた。
ほかにもエコバッグの話題やマイボトルの話題などを話しつつ、「ぜひみなさん、なんでもいいです。1つでもいいです。なにか1人1人ができること、企業のみなさんができること、自治体のみなさんができることをしっかり前に進めていくことができるような後押しを環境省はしっかりやっていきたいと思っていますので、ぜひ一緒にソーシャルイノベーションを進めていきましょう。来月『COP25』頑張っていきます。ありがとうございました」と、講演を結んだ。