キャスター・辛坊治郎(64)が14日、東京・有楽町のニッポン放送イマジンスタジオで『辛坊治郎 ヨット太平洋横断“再挑戦”にズーム! 大発表会』を開催し、司会は増山さやかアナウンサー(54)が務めた。
辛坊キャスターは来年4月にヨットにて、単独無寄港、無補給、無伴走による太平洋横断に挑戦することが報じられ話題に。
同日午後3時30分から生放送の自身がパーソナリティを務める報道トーク番組『辛坊治郎ズーム そこまで言うか!』(ニッポン放送)前に会見場に現れることに。辛坊キャスターとしては、プライベートな行事で週末に富士山を登るくらいの気持ちだったということで記者会見を開くつもりはなかったそうだが、ヨット横断が報じられたことで「周りの番組関係者が辛坊さんの番組が好きで観てくださっている方、聴いてくださっている方がいるのに来年3月末に理由を説明せずにやめる、それはないだろうと。ああそうか、じゃあどこかで説明がいるかなと考えていたら、ニッポン放送という会社が記者会見の場を設定するから出てきてしゃべれというありがたいお言葉を頂いたんです。せっかくの機会を頂いたのでしゃべらせて頂こうかなというのが本心です」と、会見を開くことになった経緯と、心情を。
辛坊キャスターとボートというと、かつて2013年6月16日に福島・いわき市から視覚障害者の岩本光弘氏とともに、アメリカのサンディエゴまでヨットで航行する「『ブラインドセーリング』プロジェクト」に挑戦。しかし、同21日にマッコウクジラと衝突し船体に浸水、2人はヨットを放棄して救命ボートに乗り、海上自衛隊に救出され失敗に終わった過去を持つ。
その流れを辛坊キャスター自身の口からあらためて話しつつ、救命ボートのなかで再挑戦を心に決めていたといい、「あの当時、記者会見で、記者の方に『もういっぺんやるつもりですか』と聞かれて、『この状況でこれだけご迷惑をおかけして、もういっぺんやるって言えないじゃないですか』という表現をしたのはウソがつきたくなかったらです。その段階で行くと決めていましたから、だけど行きますというわけにもいかないので」と、当時の発言に自身で注釈も入れた。
船にかんしては、前回の挑戦した際の船よりも大きくなり、水密区画があるという気密性もあるものになったそうで「ぶっちゃけて言うと、太平洋横断するくらいならオーバースペックかもしれないです。前回の船はマッコウクジラ3頭に次々に乗り上げましたが、この船はマッコウクジラに乗り上げたくらいでは大丈夫だろうと」と、より安全になったとも。
出発にかんしては、来年4月から5月頭あたりを意識し、淡輪ヨットハーバーからアメリカ・サンディエゴまでを考えているという。「日程は詳しくはまだ決めていません。天候によって決めようと思います」というが、「(前回の)6月は遅すぎたなという気持ちがあったんです」と、その辺りにまでにはならないようにとのことだった。
続けて、海上から衛星回線を使って、番組などもどうかという話があったという辛坊キャスター。これは自身で辞退したという。その理由としては2013年の際に1分の動画を編集して送信するのに「1分の動画を1分では送れませんから。揺れる船の中、撮影して編集して、衛星通信で20分かけて送るという世界なんです。前回ヘトヘトになったんです」と、とにかく手間暇がかかったことが頭をよぎったといい「せっかくちょっと楽しみで行こうかと思っているのに、そこまでする意味あるのかなと思って。ありがたいけど、やめたと思って」と、説明も。
自身の進退についても言及。「関西の番組には年度末でやめさせてねと言ったんですけど、関西の連中はみんな分かってて、上層部は分からないですが、現場の人間はもうそろそろやめるだろうと思っていたんで、『頑張ってきてください』と言ってくれたんです」とレギュラー番組の降板の意志を伝えたそうだが、「実は私の気持ちは伝えていますが最終的にどうなったかというのは聞いていません。それは各局さんい聞いて頂くしかありませんね」とのこと。
そんな辛坊キャスターだが、『辛坊治郎ズーム そこまで言うか!』だけは違ったそうで「ここの番組だけは7月に始めたばっかりで、いくらなんでも7月にはじめて、『ごめんなさい、辞めます』は調子が悪くてクビになるならしょうがないですけど、7月に受けると言っておいて、自分でやめるのかところがありますから。いまのところありがたいことにたくさんの人に聴いて頂いているというところがあってもうちょっとやれというところで、話を頂いていますので、休んでという話になりますよね」と、降板ではなく休みという形になっているという。現在、代わりのパーソナリティを探しているそうだが、誰か代打をしてほしい人はいないかと増山アナが質問すると「私の希望としては朝で、ここ(ニッポン放送)で帯番組をやっている飯田浩司くんがいるじゃないですか。彼に替わってもらえると」と、ラブコールも飛ばしていた。
ほかにも、記者から「前回の失敗のときに税金も使われたことでいろいろ言われちゃったりしたと思うんですけど、そのことが今回の再挑戦の決断を左右したりはすることはなかった?」と、前回の救出のために税金が使われたことをふまえた質問が飛ぶとこれに辛坊キャスターは「まったくありません」と言いつつ、「気にしてないのかと言われると、気にしていないと言うと炎上するから気にしてないとは言いませんけど、まあ、あの、しょうがないよねと。私もこの8年間、良き納税者としてそれなりに社会貢献を頑張ってきました。だから、そういうことをやる権利があるとは、決して申しません。そういう話じゃないんです。でも、それに対するお答えは『ありがとうございます』と。みなさんの税金のおかげで生かして頂いて、助けてもらって、そのおかげで、もういっぺん行けることになりました。今回こうやってやりたいことができるのは、みなさんのおかげです。そういう気持ちです」。
そして最後に辛坊キャスターから、「世間を騒がせるつもりは毛頭ないですけど、静かに行って、できればアメリカの東海岸にたどり着いて、なんとなく自分の人生の辻褄を合わせようと思っております。別に、みなさんに声援して頂く必要もありません。声援があろうがなかろうが、成功するときはしますし、失敗するときは失敗しますので。自分の楽しみだけに行くのであって、これで誰かに元気になってほしい、勇気を与えたいとは毛頭考えておりません。自分が65歳を迎えるにあたって、それまでにやりたいことは全部やって、65歳以降の人生に向かって、私のなかではどうしても必要な通過ポイントだと、それだけのことであります」と、あらためて思いを伝え集まった報道陣にお礼をしつつ「行ってまいります」と、その場を後にした。