俳優・岡田結実(21)が11日、都内で開催された「『福島、その先の環境へ。』対話フォーラム」に出席し、司会は政井マヤが務めた。
環境省では、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の発生から10年を迎えるにあたり、今後の福島の復興・再生に向けた取り組みについて、『ふくしま、次の10年へ』と題して今年2月に取りまとめている。その取り組みの1つで、国の責務である福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた全国での理解醸成活動を抜本的に強化することを挙げている。その一環で、減容・再生利用の必要性・安全性等に関する理解醸成を図る対話集会を全国各地で展開を予定しており、本イベントはその第2回めとなっている。
イベントでは福島の除去土壌の現状の映像を上映したり、小泉進次郎環境大臣らとともにパネルディスカッションを展開。岡田はZ世代の代表という形で参加となり、「今回のお話を頂くまで除去土壌のことを知らなくて、同じ日本で起こっているのにひと事のように感じていました。でも、こうしてお話を頂いて、知らないというより知ろうとしていないかったんだなって。会場で流れた動画を観ていてグッと来るものがあったので、きょうは分からないなりに勉強して帰りたいと思いました」と、意気込みを語ると、小泉大臣は、「多くの方に知って頂いて、岡田さんのようにZ世代、次世代のみなさんに考えてもらいたい」と呼びかけた。
再生土が利用された場所は安全かどうかというトークテーマの際には、長崎大学 原爆後障害医療研究所 教授、東日本大震災・原子力災害伝承館 館長の高村昇氏から図表を使いながら説明。岡田はそれを聴きながら、「高村先生の表がわかりやすくて学校の授業みたいでした。お花とか野菜とかに再生利用されているけど、ほかにどんな利用されているのかなと興味を持ちました。目に見えた数字というのは安心だなと思いました」と、実感を話す。
小泉大臣も「私の部屋に、再生利用の土を使って小さな鉢植えをいているんです。それを総理にもお願いして、首相官邸に、私の家にあるものと同じものを置いてくれました」といいつつ、総理の部屋に飾られているわけではない?という問いかけには、「総理の部屋に鉢植えを置くことも考えたんですが、マスコミの方も入らないので、官邸入り口のエントランスホールがあって、あそこはマスコミの方の目に触れるので、その場所に置いています」と、狙いを語った。
その後、一般の方からの質問に答えるコーナーが開催。東京大学大学院情報学環総合防災情報研究センター准教授の関谷直也氏へは、福島・浜通りにダンプカーがひっきりなしに通って砂を運搬する光景が広がっておりそこで付随して起こる風評被害にどう対応するのかへ、「データとして示していき、事実を知ってもらうことが重要だと思います」と、意見を。
さらに、若い世代に原発事故に興味を持ってもらうためにはどうしたらいいかという質問に岡田は、「こうして携わらせて頂いて、VTRで再生利用の土を使ってお花とかお野菜のお話が出ていて、そのなかで、作り手の方が『きゅうりが美味しくできた』という話をされていて、私も食べてみたいと思いました。それと私、お花屋さんが好きなので、生活の中に入ってくると知りたいなと思います。そういうことを日本はやっているんだ、福島はやっているんだというので、広がっていくんじゃないかと思いました」と、語っていた。
そして岡田は、「地元の方のことを想像すると、自分が暮らしていたところに入れなかったり、環境の影響で、大事な場所を渡すというのはとても思い決断だと思うんです。福島の復興を願って、これは福島の方の問題で終わらせてはいけないなと強く思いました」と、自身の気持ちを伝えるとともに、この日の感想として、『知ろうとすることは誰かを思う事』とフリップにしたため「きょうこのフォーラムに参加した方々は、知ろうとしたことで福島の方のことを思ったと思うんです。福島の方だけの問題ではなく、自分たちの問題だなというのを感じました。きょうだけじゃなくて、誰かを思う人になりたいなと思って。それを肌で実感したので、そう書きました」と、前を向いて語っていた。
終了後の記念撮影の際には、小泉大臣から再生利用実証事業の一環で行われている土で育てられた花を花束にしてプレゼントされ、笑みを浮かべる一幕もあった。