“ゆづ”の愛称で親しまれているフィギュアスケートの羽生結弦選手(26)が東和薬品株式会社のイメージキャラクターとして起用。2004年からイメージキャラクターを務める女優・黒柳徹子(88)とともに4日より全国オンエアとなる新TVCM『こころの笑顔、あしたの健康』篇に登場する。
羽生選手の起用へ、同社側から「国内外の大会で数々の金字塔を打ち立てながらも、飽くなき向上心で、アスリートとしてさらなる高みを目指し、ますます進化し続ける羽生結弦選手。自身が追い求める理想のスケートに、常に前向きにチャレンジし続けるその姿勢が、新たな領域への挑戦をはじめた東和薬品グループのイメージに重なることから、この度の起用に至りました。また、新企業広告への起用は、その高い人間性と、絶え間ない挑戦によって、世界中に感動を届けている羽生選手がメッセージするにふさわしい存在でありたいという、東和薬品グループの決意表明でもあります。そんな羽生選手が今回のコミュニケーションで、健康という、不朽・普遍の人々の思いにやさしく寄り添える存在であり、なおかつ、これまで常に本質を見極め、あらゆることに向き合って来られた黒柳徹子さんと共演いただくことで、『変わらないこと』『変わること』という2つのメッセージをわかりやすく、それでいて深いイメージとともに訴求していきます」と、説明している。
羽生選手の撮影は6月上旬に仙台市内のスタジオにて。当日は、同社のコーポレートカラー『グリーン』をあしらったチェックのシャツと水玉のネクタイに、ベージュのスーツを合わせた爽やかな衣装で登場。スタッフの皆さんに「よろしくお願いします」と丁寧に一礼し、CMのコンテ説明に臨んだ。撮影に当たり、「ちょっと笑いが出るぐらいの雰囲気で」というリクエストを受けた際、無意識に「恥ずかしくならないかなぁ」とはにかんでみせると、監督がすかさず「今ぐらいの自然な表情で」と指摘。これに、羽生選手は満面の笑みで「了解です!」と返す一幕もあった。
本番前、カメラに正対した右足の内側に、やや斜め向きに左足のかかとをくっつけた状態でスタンバイした羽生選手。当初は「なんかフィギュアっぽいですかね」と足元が気になる様子を見せていたが、監督から「シャキッと立っている感じが出ていいと思います」とOKが出る。羽生選手はワンテイクごと、「今の感じで大丈夫ですか?」と確認し、セリフの間や声のトーン、テンポ、表情、所作などを細かく調整。持ち前の集中力と表現力を発揮して、自分に何が求められているのかを意識し、監督の「ややテンション抑えめに」「“約束”をより丁寧な言い方で」という矢継ぎ早の指示にも的確に対応し、OKテイクを重ねていった。
セッティング中はスタッフの皆さんと気さくに談笑し、リラックスした表情を見せていた羽生選手だったが、カメラが回っている間は「けっこう緊張していました」とも。羽生選手自身、「自分は演技のプロではないか
ら」と撮影資料をしっかり読み込み、数日前から部屋の鏡の前でセリフを猛練習してきたのみならず、東和薬品のホームページもくまなくチェックし、「こころの笑顔」に込めた想いや企業理念などをひと通り頭に叩き込んできたという下準備を欠かさなかったそうだ。
すべての撮影を終え、「お疲れ様でした」と周囲からねぎらいの拍手が起こった後、おもむろに口を開いた羽生選手。「僕が撮影に参加したのは数時間だけですが、この素晴らしい撮影現場をつくってくださるために、多くの方々がとても多くの時間を費やされたと思います。そのことに本当に感謝したいと思います。ありがとうございました!」とあいさつするとともに、「この後、撮った素材の編集作業とかも忙しいと思いますが、これからもよろしくお願いします!」と、メッセージを寄せていた。
その後7月上旬に黒柳の撮影が行われたが、事前に撮影した羽生選手が笑っている映像を見て、思わず「あら、かわいい(笑)」と声を挙げる一幕もあったり、羽生選手の印象を、「私が紅白歌合戦の司会をした時、羽生結弦さんとたまたま舞台の袖で一緒になって、『僕、徹子の部屋に出たいんです』と仰っていたんですけど、まだお会いできていませんね。今度ぜひ出ていただきたいなと思います。ああいう天才の方と、何か一緒にやるというのもラッキーなことですし、今回のCMであんなにすごい方と一緒になるなんて思ってもいなかったので、とても楽しみにしていました」とメッセージを。
逆に、羽生選手は動画メッセージを通じて、黒柳に質問しており、「僕はけっこう怪我が多くて、怪我によって心が傷ついたりとか、ちょっと棘のある言葉に傷ついたりとか、そういうこともあるんですけど、業界で長く活躍されている徹子さんは、どうやって乗り越えているのかをお聞きしたいです」と話すと、黒柳は「人からいろんなことを言われたりとか、印刷物に自分のことが書いてあったりすると嫌な感じがしますけど、私は一日寝たら忘れちゃうタイプで、くよくよしないことを前提に生きていこうと思っています。私も芸能界入った頃はもう、すごくいろんなことがあって、先輩とかにこんな仕事やめちゃえとか、お前の日本語は徹底的に変だとかガンガン言われました。でも、それでもいいって言う人がいるんだからいいんじゃないと思って、そのまま別に直すこともなく、仕事を続けてきたら、なんとなくここまで仕事をしてこれました。いろいろつらいことがあったり、こういう時代ですから、なんか気に沿わないこととかもあったりするかもしれないんだけど、あんまりくよくよしない。私は一晩寝たら忘れるタイプなので、次の日になったらまた元気になって、前に進んでいくという。それでまあ68年、芸能界にいて、何事もなく過ごしてきました。だから、くよくよしないこと。そして、一晩寝たらだいたい忘れちゃうことがいいんじゃないかなと思います。笑うとあれだけかわいいんですから、これからも笑顔で、天才的なスケートをみんなに見せてくださいとお伝えしたいと思います」と、伝授していた。
また、羽生選手も撮影後にインタビューに答えた。以下全文。
――撮影の感想をお聞かせください。
羽生選手:まずはセリフをちゃんと覚えないといけなかったので、2、3日ぐらい頑張って鏡の前で練習してきました。あとは、アスリートとして何かを突き詰めるという作業はすごく好きなので、何を言えばいいのかと
か、そもそも東和薬品さんは何を目指していて、どういう概念や理念を持っていらっしゃるのかとか、すごく勉強して今回の撮影に挑みました。声や表情で表現するのはプロではないですけど、自分としては一生懸命表現したつもりです。
――表現するに当たって、意識されたことは?
羽生選手:自分だけの満足になってしまわないかということは常に考えています。今回、鏡の前でも繰り返し練習したのは、本当にそれが伝わっているのだろうかと、自分自身を客観視したかったからです。フィギュアスケートのプログラムもそうなんですけど、やっぱり思いが強ければ強いほど、どうしても自分の中の気持ちとか、これを伝えたい、みたいなものが強くなって、すごく独りよがりなものになりがちなんですね。だから、今回のメッセージを、丁寧にちゃんと届けられるかどうかということは、すごく意識しました。でも、今回は演技だけでなく、インタビュー撮影もありましたし、監督さんがすごく優しい方だったので、いつもよりリラックスで
きました(笑)。
――黒柳徹子さんの印象をお聞かせください。
羽生選手:1回だけお会いしたことがあって、その時はちゃんとお話はできなくてあいさつぐらいだったんですけど、本当に普段から輝いていらっしゃるんだなという印象を持ったので、僕もアスリートとして黒柳さんのように、常に輝ける人になれたらいいなと思いました。
――羽生選手がオススメする、おうちでできる運動や健康法は?
羽生選手:音に合わせて踊ることですかね。誰にも見られているわけではないので、お風呂場とか洗面所とかでやってもいいんですよ。たとえば僕だったら、好きなアーティストが演奏している映像を見て、めっちゃエアーでギターやベースを弾いたり、ボーカルをやっているフリをしたりとか。そんなんでもすごく気持ちよくなれますし、十分楽しめてかなりカロリーも消費すると思うので、そういう瞬間を作ってもいいのかなと。家族がいる方は、ぜひお子さんとかパートナーと一緒にやると、恥ずかしいけど家族の雰囲気がちょっと良くなるのかなと思います。
――こっそりやっているエアギターをちょっとだけ披露していただけませんでしょうか?
羽生選手:それは無茶ぶりじゃないですか(笑)。さすがに恥ずかしいですよね。でも、試合のアップの時とかよく歌っています。あんな感じです。あとは、ガン泣きします。泣きたい時は、泣きたい自分に浸っちゃうようにするというか。浸っちゃっていいよね、泣けばいいよね、泣けばいいじゃん、悲しいよね俺、みたいな感じでしっかり泣いて、発散してあげると、いつの間にか心が健康になっていて。心が健康になったら、今度は体も健康になっていくので、それがいいのかなと思います。
――視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
羽生選手:このような状況の中で、人と人とのつながりが本当に弱くなっていたり、思いっきり笑ったり、感動したり、一緒に泣いたりする機会とか、なかなかないと思います。本当は外に出たくて、外の気持ちいい空気を浴びたくて、家の中で苦しい思いをしている方もたくさんいらっしゃると思います。そんな方々にとって、悲しいとかうれしいとか、何か気持ちのかけらになるような演技を、また、本当にちょっとでも、ほんの一秒だけでもいいので、前を向けたり後ろへ行ったり、そんな気持ちの動くような演技をこれからもしたいと思っています。自分の言葉はまだまだ拙いところもたくさんありますし、自分で言えていないこと、自分が表現しきれていないこともたくさんありますが、皆さんの心の笑顔につながるような演技をこれからもしていきますので、ぜひご覧ください。そして、どうかこれからも健康に気をつけて、自分の心の笑顔を大切にしてください。
ありがとうございました。
○黒柳からの質問メッセージを受けての羽生選手の回答
黒柳:羽生選手にも怪我や不調があったと思いますが、それでも諦めず次の目標に向かって進む心の強さはどうやって育まれたのでしょうか?
羽生選手:僕はよく「メンタル強いね」「心が強いね」と言われるんですけど、実は自分の中で強いと思えたことが一度もなくて。試合の度にすごく緊張しますし、インタビューを受けている時もそうですし、CM撮影なんかは特に、言葉で何かを表現しないといけない中、自分では言葉の使い方が下手だなと思っているので、すごく緊張します。だからこそ、一生懸命準備するようにしています。自分が緊張するとダメになってしまうことも、また、その緊張が力をくれることも両方わかっているので、力をもらう前段階の土台をしっかり作ることは、常に意識してやってきました。
黒柳:羽生選手が心の笑顔を実感するのはどんな時ですか?
羽生選手:やっぱり周りのみなさんに心の笑顔になっていただけた時ですね。それを感じられた時はすごく嬉しいです。今はいろんなイベントが無観客で、なかなか人とのつながりが見えなくなっている状況なので、感じ取るとか理解する、寄り添うということは非常に難しいと思うんですよ。ただ、それでもやっぱり、そこに心から手を伸ばしてあげて、それを感じようと思えば感じられると思いますし、実際に自分が納得できるものだったら、たぶん自分の中でもちゃんと何かを感じられると思うんですね。だから、ちゃんと納得できるものにして、それがまた誰かのもとにつながって、そこで心の笑顔ができていたら、僕も笑顔になれるなと思います。
TVCM『こころの笑顔、あしたの健康』篇は4日より30秒でオンエア!なお、2人が『こころの笑顔』にまつわるエピソードを明かすWEBムービー(2タイプ)を、CM放映開始に合わせ、特設サイト(https://www.towayakuhin.co.jp/special)で公開も予定している。
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