2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、メディアや体験会を通じて、パラスポーツに対する一般の方々の理解が進み、関心も高まってきている。
そんな中、車いすマラソンやレースの競技を身近に体験できるエンターテイメントVRレーサー『CYBER WHEEL X(サイバーウィル エックス)』が、モータースポーツや医療福祉機器の研究開発を手がける『株式会社RDS』と、デジタル技術を駆使した新サービスを手掛けるIT企業『株式会社ワントゥーテン(1→10)』で共同開発した。
2017年に1→10が「CYBER SPORTS」の第一弾として開発したVRレーサー『CYBER WHEEL』は、1万人以上の人々が体験。そのCYBER WHEELのエンターテイメント性をより追求し、RDSと1-10の新たなテクノロジーで進化したのが『CYBER WHEEL X』だ。
両社の共同開発による『CYBER WHEEL X』は、西暦2100年の東京の街をイメージしたコースや通信対戦・データ対戦が可能になった他、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)協力のもと、ハンドリム(駆動輪の外側についている持ち手)ウエイトの技術を導入。これによってレース中、上り坂では負荷がかかり、下り坂では加速し、より実践に近い車いすレースを体験することができる。
また、新たにパラスポーツ選手のメニューとして、トレーニングモードを用意。世界記録やトップレーサーとのデータ対戦、ハンドリムの回転数の確認や負荷の調整が可能になり、ゲームとしてだけでなく、車いすアスリートのトレーニングとしても利用できる。
2020に向けて挑戦を続ける車いす陸上 伊藤智也選手の車いすレーサーをモデルにデザインされた筐体はより強固に進化し、様々な色に変化するLEDが映像内のアクションと連動し、多様な発光をする。
■アップデートされた主な特徴:
・通信対戦、データ対戦
二台を使った遠隔でのリアルタイム通信対戦やデータ対戦が可能
ランキングも表示
・身体フィードバック
コースの起伏に応じてハンドリムに負荷がかかり体験性を強化
カーブやアップダウンにも対応
・都市をスキャン
東京のストリートをレーザー計測することで3Dの都市空間に没入
・車いすレーサーのためのトレーニングモード
実践に近いレースを再現、トップレーサーとのデータ対戦や実際のルールにも対応
時速の変化や軌道を可視化
車輪の幅や負荷の調整など、カスタマイズが可能
・筐体の進化
車いす陸上の伊藤智也選手と共に開発した最新レーサー、 RDS WF01TRのデザインが基になった本格レース仕様の筐体
※ティザーサイトURL:http://rds-pr.com/
■備考
・7歳以下の方は、VRの装着ではなく、モニターを見ながらのトライアルをお願いしている。
・8月28日(水)より、東京ソラマチ® イーストヤード5F「PLAY5G 明日をあそべ」にて体験できる。
■代表コメント
・RDS 代表取締役社長 杉原行里
約一年前、澤邊さんに、“CYBER WHEELをアップデートしましょうか?”とメールしたら、 二つ返事で“やろう!”と返してくれたのがキッカケです。嬉しいことに、最先端のロボットやモビリティーの研究開発を行う千葉工業大学のfuRoの協力もあり負荷の再現が実現しました。CYBER WHEEL Xではリアリティが増すことでゲーム性が高まり、「このゲームはなんだかパラスポーツの競技に似ているな、楽しいな」との見方をするユーザーも出てくるはずです。その結果、僕たちが目指しているボーダレスな世界観が広がっていくと思います。また、搭載されているトレーニングモードのゴースト機能を使えば、世界ランカーとバーチャル世界で競い合うことができます。様々なコンディションに合わせて負荷をかけることもでき、実際に選手たちがトレーニングに取り入れる事もできます。
CYBER WHEEL X には、まだまだいろんな展開の可能性があると思っています。例えば、シーティングデータの取得です。RDSでは独自に、シート部分に触覚センサーを入れて、データを取る仕組みを開発しており、9月に発表する予定です。そのデータをCYBER WHEEL Xと連携させ、エンターテイメントを通じて福祉や医療に活用することができたら面白いと思います。
エンターテインメント、テクノロジー、デザインといった分野でメッセージを発信していくことが僕たちの役割だと思っています。 2020年を、日本のモノづくりの驚きと面白さを世界にアピールする契機にしたいです。
・ワントゥーテン 代表取締役社長 澤邊芳明
CYBER WHEELを発表して2年が経ち、バージョンアップをしていきたいという意識はありましたが、あくまでパラリンピックに興味を持ってもらうためであり、これまではバーチャルの世界を体感するものでした。しかし、RDSとの共同開発により、リアルの部分が補強され、より現実に近づくことができました。Ver.1は2100年の仮想世界で「こんな未来がきたらいいよね」というようなものだったのですが、CYBER WHEEL Xは、もっと様々なことを考えるきっかけになるという予感があります。パラスポーツの魅力を伝えるための健常者向けだったものが、健常者のみならず、障がい者にも焦点を向けていくことができる。
そして、もっと発想のリミッターを外してもいいと思います。いまは多くのベンチャー企業の方々がパラスポーツ関連のことを、考えてくれるようになっていますし、ここからもっと大胆で面白い広がりも生まれる。CYBER WHEEL Xも次なるモビリティの新たなヒントにも繋がっていけたらなと思います。バリアフリーがどうとか、共生社会がどうとかだけではなく、まずは、“面白い”という見方をしてもらえれば、また次のステップに進んでいけると思います。
実際に“共生社会”と言った時点で、共生する側とされる側というふうに分けないと概念が成立しないのですが、実はその時点で線引きをしているという見方もできると思います。CYBER WHEEL Xは、そうではない完全にフラットな目線でプロダクトとして成立させている。それが一番重要なことだと思っています
■株式会社RDS
URL http://www.rds-design.jp/
RDSは、2019年度F1チームToro Rosso Hondaのスポンサーを始め、モータースポーツ、医療・福祉、最先端ロボットの開発など、多数の製品開発に携わり『アイデア力』『デザイン力』『技術力』を強みに、自社ファクトリーから新しいモノ作りのカタチを世界に発信する研究開発型の企業。グッドデザイン金賞を受賞した世界最軽量の『ドライカーボン松葉杖』や、車いすの概念を変える未来型車モビリティ『WF-01』などプロダクト開発を行うとともに、2018年3月に行われた平昌パラリンピックで、チェアスキー男子の森井大輝選手や女子の村岡桃香選手のオフィシャルサプライヤーを務め、金メダルを含む、計7個のメダル獲得に貢献した。スポーツx 医療福祉 x テクノロジーを掛け合わせたmedia【HERO X】を運営。
※関連『HERO-X』http://hero-x.jp
■株式会社ワントゥーテン
URL http://www.1-10.com/
最先端テクノロジーを軸に、デジタル技術を駆使した新サービスの開発や、プロジェクションマッピング・XRなどを活用した商業施設やイベントのデジタル演出などを行っているクリエイティブスタジオ。2018年1月に行われた東儀秀樹出演の「源氏物語音楽絵巻〜儚き夢幻〜」でのデジテル映像表現、また7月に行われた市川海老蔵出演の「歌舞伎座百三十年 七月大歌舞伎 夜の部 『通し狂言 源氏物語』」でのイマーシブ(没入型)プロジェクションなどに見られる、日本の伝統文化と先端テクノロジーの融合によるアート活動のMixedArts(複合芸術)プロジェクトや、夜の旧芝離宮恩賜公園を活用したライトアップイベントの総合演出も行っている。 2017年には、パラスポーツとテクノロジーを組み合わせた新しいスポーツエンタテインメントCYBER SPORTS(サイバースポーツ)プロジェクトを開始し、車いすロードレースを疑似体験できるVRレーサー「CYBER WHEEL(サイバーウィル)」や「CYBER BOCCIA(サイバーボッチャ)」を発表した。