2024年夏「そうだ 京都、行こう。」~京都がくれる癒し~が夏期間に京都で展開中だ。
今夏は“京都がくれる癒し”をテーマに展開。1200年以上の歴史がある古都・京都にて、新緑・音色・静寂・街歩き・美味の5つの視線からの癒やしスポットなどを紹介している。
その新緑・静寂が同時に楽しめて癒やされるような蓮華寺を訪れた。
蓮華寺は京都市内北東側、白川通りを北上、比叡山の麓で三千院の少し手前に位置している天台宗の寺院。京都バス「上橋」駅近く、叡山電車叡山本線「八瀬比叡山口駅」下車徒歩約13分のところにある。四条河原町や祇園といった人が多く訪れるスポットとは違い、周辺は閑静。近くを流れる高野川も清らかな流れをたたえ、“ザ・京都”、“京の奥座敷”といった言葉が思い浮かびそうな雰囲気が漂っている。
一般道路から、ふと曲がった小道の先に蓮華寺はある。門を1歩くぐると、目いっぱいに広がる苔や青もみじの緑、苔むした庭と石畳が目に飛び込んでくる。それとともに体感温度も下がったように本サイトスタッフには感じた。同行していたほかの記者たちに話を聞いてみると、「入った瞬間に温度が下がった気がした」「雰囲気が一変した」と、同じような感想を持ったというから、本サイトスタッフの感覚的な話……というわけでもないのかもしれない。
6月初旬に訪れたタイミングでは一面の緑といった様子。なお、入って左手には仏像たちがあるが、カメラを向ける行為自体禁止となっているのでそこは要注意だそうだ。
お香だろうか、蚊やりの匂いだろうか。夏を連想させるような匂いがするなか、「書院」といわれる場所に上がると、池の周りに道がある“池泉回遊式庭園”(ちせんかいゆうしきていえん)が目の前に広がり、思わずカメラを構えて写真を撮りたくなる……が、しかし写真は少し待ってほしいという副住職。
副住職によると、まずは心を落ち着けて、「拝観」し、庭が表現していることに思いをめぐらせてほしいという。庭に配置された石や灯籠、池は1つ1つに意味があるという副住職。庭という環境を使って仏教の世界を表現しているのだという。お庭というのは「外にあるお教、外にあるお仏壇」という感覚でとらえてほしいのだそう。
蓮華寺では、書院から見える池の奥が極楽浄土を表現しているという。池でも、書院に近いところに配置されている小型の2つの石は船に見立てており、その船で極楽浄土へ向かうイメージなのだそうだ。極楽浄土の前には亀のように見える奇石と鶴のように見える奇石が配置されており、おめでたい様子を表しているという。そんなイメージを膨らませながら仏教を感じることが、「拝観」なのだそうだ。
庭を「拝観」した後に、ついでに、という気持ちでカメラを構えてみると、より蓮華寺の伝えたかった真髄の“写真”が撮影できるかもしれない。周囲の植物は、春はシャクナゲ、夏はアオモミジ、6月から夏期間にかけてはサルスベリが目を楽しませてくれるという。
さらに、お堂の柱を絵の額縁に見立てて眺めると、1枚の絵のようにも見える。少し動くだけで、光の加減や見え方が変わる。長い時間観ていられる、まさに絵画といった様相を呈している。
庭園に降りてからと“池泉回遊式庭園”の周囲の渡り廊下、その先の本堂の撮影は不可。本堂の側には、六角形で急勾配の笠をつけた1対の「蓮華寺型石灯籠」という石灯籠があり、茶人の間では広く知られているのだそうだ。
■蓮華寺
所在地:〒606-0065 京都府京都市左京区上高野八幡町1
開園時間:9:00~17:00
拝観料:500円
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取材・撮影(一部):水華舞 (C)エッジライン/ニュースラウンジ